クラウンがセダン不況の中で改良繰り返す真意 一部改良で内外装の質感と安全性を向上

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現行クラウンは、1955年に誕生した初代から数えて15代目にあたり、2018年6月のフルモデルチェンジで登場した。その後、2019年に特別仕様車を2度発売し、今年になって4月に一部改良が施され、続いて今回の11月に2度目の改良が行われた。それが前のページに記した内容である。いずれにしても最新の安全対策の向上以外は、細かな点での商品性の充実といったところだ。

セダンは売れないとよく言われ、苦戦している車種は多い。その中でクラウンは頑張っているほうだろう。新型コロナウイルスの影響を受けている今年4~9月の販売動向を見ても、クラウンは半年の合計で31位の成績を残している。

クラウンより上位の車種といえば、昨今人気のSUV(スポーツ多目的車)をはじめ、定番のコンパクトカーやミニバンなどで、上級4ドアセダンとしての健闘が目につく。同社の中型セダンのカムリは42位であり、他社の4ドアセダンの名は50位以内にないのだから、クラウンの健在ぶりが浮き彫りになる。

そこに胡坐(あぐら)をかくのではなく、こまめな改良や特別仕様車の設定などの実施が販売台数の支えにもなっているのだろう。安全機能の刷新以外は、車両自体への大きな変更はなく、現行クラウンの素性のよさもうかがい知ることができる。

ニュルブルクリンクで鍛えられた走り

2018年に新車試乗でクラウンを運転し、印象深かったのが上級4ドアセダンとしての高度な進化だった。クラウンは国内専用車なので、高速走行性能は基本的に100km/h+αで十分だろう。新東名高速道路の一部で実施される最高時速120kmをメドとした力量を示せば済むはずだ。しかし、ドイツのニュルブルクリンクで走行試験を行ったという操縦安定性は、ドイツの競合車種にも匹敵するのではないかという奥深さを覚えさせた。

ニュルブルクリンクで鍛え抜かれたトヨタのTNGA FRプラットフォーム(写真:トヨタ自動車)

同時にまた、国内専用車として日本の道路事情に適した乗り心地は、日常的な低~中速域でドイツ車のようにゴツゴツしておらず、しなやかで快い乗り味に仕上げられていた。率直な印象として、日本でドイツ車を選ぶ意味を失わせるのではないかと思えるほど、走行性能と乗り心地の高い調和に感動させられたことをいまも忘れない。

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