同じく、体毛を間引くアイテム「レッグトリマー」を2011年3月から販売するのが貝印だ。累計で180万本(11月時点)を販売する商品で、T型カミソリを原型とし、刃の上部にクシ目状に成型した樹脂を組み込んだ独特の形状で、毛を3mmの高さにカットする。
2010年に同社が男女200人に行った調査では、男性より女性のほうが「(男性の)体毛が気になる」と多く答え、胸や腕、腹、足と幅広い部位を処理してほしいものの、ツルツルの状態を望む人はいないという結果となったという。そのためほどよく体毛を残すコンセプトが採用された。
開発当時は異性の目を気にする男性も多く、女性の意見を取り入れた商品となったが、今年、同社が男女600人に剃毛・脱毛についての意識調査を実施したところ、『剃ることは自分自身で自由に決めても良いと思う』と回答した人の割合が90.2%に上った。
またかつては、すね毛を全部剃ることに抵抗を感じる人も多かったが、ここ数年で、男性向けの脱毛サロンが多く登場している。「(開発当時の)2011年と比較すると全脱毛への抵抗もあまりなくなっており、価値観も多様化している」と貝印の広報は語る。
脱毛サロンや美容医療も人気
このような価値観の変化により、男性向けの脱毛サロンや美容医療クリニックのニーズもより高まっている。医療法人社団十二会が運営する男性専門の総合美容クリニック「ゴリラクリニック」は2014年10月に創業。創業初年と比べると、現在は男性患者数が34.05倍まで増加し、クリニックも19院に展開を拡大した。
同医院の稲見文彦・総院長は「メインの患者層は20〜30代だが、最近は40〜50代の患者も増えている。当院のいちばん人気の施術は医療脱毛で、とくにヒゲ脱毛が人気だが、全身脱毛を希望する人も増えている」と話す。
ヒゲ脱毛は身だしなみとして、毎日の手入れ時間の短縮という利便性や、カミソリによる肌荒れを気にして始める人が多い。最近では、学生でも就活を意識してヒゲ脱毛を始める人が多いという。
また、40代以上の患者は耳や鼻、眉毛など加齢とともに目立つ部位を気にする人や、将来に向けた準備として陰部脱毛を行う人もいる。「近ごろは“介護脱毛”というニーズが出てきた。介護では排泄物などの処理を行うが、その際にアンダーヘアがないほうがスムーズ。自身が介護をする世代となった人たちが、自分は迷惑をかけたくないと永久脱毛を行うようだ」(稲見総院長)。
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