トランプ「大逆転の可能性」どれくらいあるのか バイデン大統領就任までの5つの「関門」

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前出のグリーンバウム氏によれば、仮に今回、これと同様の状況となった場合、連邦法は議会に州知事の認定する選挙人を支持するよう示唆しているという。

しかし、議会が党派対立に固執した場合はどうなるのか。つまり、民主党が過半数を握る下院が州知事の認定したバイデン氏支持の選挙人を選び、共和党が過半数を握る上院が州議会の指名したトランプ氏支持の選挙人を選ぶシナリオだ。2000年のフロリダ州の再集計でアル・ゴア候補の主任弁護士を務めたデビッド・ボイス氏によると、たとえ議会が膠着状態に陥った場合でも、連邦法の定めによれば問題の州の「行政官」によって選ばれた選挙人の票がカウントされることになる。

ボイス氏が言うように、「行政官」が知事と州務長官のどちらを指すのかについては曖昧な点もある。そうはいっても、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州という3つの主要な激戦州では知事と州務長官の両方が民主党員であるため、ここに党派対立が入り込む余地はない。

超大型ハリケーン+トルネード級の事態がなければ

第5の関門:バイデン氏との票差はあまりに大きい

残るは大統領就任式だけだ。

今後の数週間は混乱が続くかもしれない。選挙プロセスに対する国民の信頼が損なわれ、選挙が「盗まれた」とするトランプ支持者の誤った信念がいっそう強固なものとなる可能性もある。民主主義へのダメージは長期にわたって尾を引くことになるだろう。

しかし短期的には、1月20日にバイデン氏が右手を上げて宣誓し、第46代アメリカ合衆国大統領となる以外の展開はまず考えられない。

前出のレビンソン氏は、「選挙が悪夢」となる一連のシナリオをリストアップしてきたが、これらのシナリオのうち現実になったものは今のところ1つもないと言う。ただ1つ、共和党議員が妨害行動に出る可能性は残されているが、同氏はこれについては心配していない。

悪夢のシナリオが実現するには、ありえないことが次々と起こらなくてはならないが、ありえない事態を起こすには、バイデン氏との票差はあまりにも多くの州で、あまりにも大きくなりすぎてしまったからだ。

「この手の悪ふざけに動かされる州がどこにありますか」とレビンソン氏は言う。「あまりにも多くのことが裏目に出ない限り、そんな州は出てこない。たとえていえば、超大型のハリケーンが襲来している最中にトルネードが直撃するくらいの事態。そんなことが本当に起こるとは思えませんね」。

(執筆:Maggie Astor記者)

(C)2020 The New York Times News Services 

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