トランプ「大逆転の可能性」どれくらいあるのか バイデン大統領就任までの5つの「関門」
それでもなお、トランプ陣営がセーフハーバー期限までに確定した結果に異議を申し立て、訴訟を起こす可能性はある。たとえ勝ち目がなかったとしても、訴訟を起こすことなら誰だってできる。ただ、トランプ陣営の訴えはほぼ間違いなく裁判所から棄却されるだろう。
「確定した選挙結果は訴訟から守られると考えてよい」。こう話すのは、選挙法を専門にするロヨラ・メリーマウント大学法科大学院のジェシカ・レビンソン教授だ。「確定後に州の選挙結果が手品のようにして争われることになるとしたら、その問題は議会で扱われることになる」
ジョージアは手作業で再集計行うが…
第2の関門:州議会議員の介入は現実的にいって不可能
州議会議員は介入できないわけではないが、おそらく、そんなことはしないだろう。トランプ陣営と保守派の基本戦術は、訴訟などの策を弄して州が選挙結果を確定するのを防ぐこと、あるいは最低でも確定作業を遅らせることにある。その背景には、選挙管理人がバイデン氏の勝利を確定できなければ、共和党が過半数を握る州の議会が介入し、トランプ氏を支持する選挙人を指名できるようになる、との思惑がある。
ジョージア州ではトランプ氏が時間のかかる手作業での再集計を要求し、共和党所属の州務長官がそれを認めたため、確認証明書の送付期限までに再集計を終えられない可能性がある。
そうはいっても、それまでにはまだ約1カ月の時間があるし、選挙管理人が故意に作業を長引かせているように映った場合には裁判所が介入する展開も考えられる。そもそも1万4000票というバイデン氏のリードを再集計で覆すのは極めて難しい。再集計で万が一、バイデン氏がジョージア州を落とす結果となったとしても、どのみち全体の選挙結果は変わらない。
ペンシルベニア州とミシガン州では、トランプ陣営が投票および集計に不正があったという根拠のない主張に基づいて選挙結果の確定を阻止する訴訟を起こした。が、これまでのところ裁判所は訴えをことごとく退けている。ここでもバイデン氏のリードは、ペンシルベニア州で5万票超、ミシガン州で15万票近くと、再集計で覆せる範囲をはるかに超えている。
たとえ集計結果が期限内に確定された場合でも、州議会議員が暴挙に出て、トランプ氏を支持する選挙人を指名し、知事が認定した選挙人と張り合う可能性も理屈の上では考えられないわけではない。
ただ、ペンシルベニア州の共和党議員はすでに、そうした行動に出るつもりはないとの意思を明らかにしている。仮にどこかの州の議員がこうした蛮行に打って出たとしても、法的に自らの立場を正当化することはできないだろう。