実はこれは従来からよく言われていた問題で、日本市場はしばしば政治介入によって価格操作が行われることがあり、自衛隊の活動をもじってPKO(Price Keeping Operation)といって揶揄され、日本の資本市場がいまだに前近代的な運営がされていると長らく議論されていました。
しかし損失補てん問題、そしてバブル崩壊から20年以上が経とうとしている現在でも、まったく同じ問題を外国人投資家に指摘されていうという事実を市場関係者はもっと真摯にとらえるべきではないでしょうか。
安倍内閣に期待するのは、フェアで株主の権利が正当に確保できる株式市場であって、管理政策で、無理やり相場水準を引き上げることではありません。これだけの利益をたたき出せる日本企業の株価は、むしろそういった制度やモラルの問題で足を引っ張られているのだ、という認識を持つべきだろうと思います。
もちろん、個人ならいやなら株を買わねばいいわけですが、日本の年金基金が日本株購入比率を本当に増やすというのであれば、肝心な我々の年金が「鉄火場」のような株式市場の動きにさらされることは避ける必要があるでしょう。
欧州を揺るがしかねない、EU懐疑派の躍進
日本ではついこの前にあれだけ大騒ぎをした「欧州危機」が忘れさられた感があり、すでに解決済みという声さえ聞かれますが、事はそれほど単純ではありません。結果的にECBがせっせと国債を買い集めて相場を支えているのは日米と同様な状況ですが、我々との違いは、彼らが買っている国債そのものの価値が同一ではなく、下手をすると投機的格付けになりそうな国の国債まで国債と言う理由で買い続けており、その結果、中央銀行のバランスシートがただ膨張するのみならず(これだけでも危険なのですが)、挙句の果て資産の中身が劣化し続けるという行為をほぼ無制限に続けていると言う事実です。
そんなことはECBも百も承知で、だからこそこの超金融緩和策の一方で、欧州各国に財政赤字削減を迫り、資産価値の下落を抑えにかかって、なんとか今の状況をクリアしているわけです。
ところが、先日の欧州議会選挙では、中道右派が最大会派を維持したとは言うものの、こともあろうにEU統合推進に批判的な勢力が、3割に近い議席を得て、一大勢力になろうとしています。フランスでもイギリスでもこの勢いは無視できず、現政権は、今後相当な圧力にさらされるでしょう。
これだけ反EUが票を集めると言うことは、まさに今の欧州の運営について多くの国の国民が、満足していないと言う結果で、今後ともこんな無理な経済政策を持続できるのか、真剣に問われるステージになりつつあります。欧州に激震が走る、可能性はなきにしもあらず・・・です。
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