アメリカ大統領選挙でジョー・バイデン氏が勝利確実とされたとき、隣国キューバの人々は、ビールやラム酒で祝杯を挙げたという。キューバと国交正常化をさせたオバマ前大統領時の副大統領がバイデン氏だったということで、同氏もオバマ氏と同様にキューバとの関係改善に努めてくれると期待しているのだ。
もっとも、今回キューバ人はバイデン氏の勝利そのものを祝うというより、トランプ大統領がホワイトハウスを去るということを喜んでいるといったほうがより近い。トランプ大統領の“抑圧”からできるだけ早く自由になりたいというのがキューバの政界そして国民の悲願であった。
キューバに対して約150の制裁を課している
トランプ政権下ではキューバに対し150項目あまりの制裁を課してきた結果、キューバは経済的窮状にある。その主な制裁内容は以下の通りだ。
アメリカからの民間航空のキューバへの乗り入れを制限
アメリカから首都ハバナを除く都市へのフライトを禁止した。
クルーズ船のキューバへの寄港禁止
キューバの観光業は「ガビオタ」と呼ばれている軍人グループ組織によって運営されている。トランプ大統領はアメリカから観光客のキューバへの訪問はキューバのガビオタが豊かになるだけだとして禁止した。
アメリカからキューバへの送金の制限
アメリカに在住しているキューバ国民が、キューバに住む親族らに送る送金を3カ月前に最大1000ドルとした。例えば、2008年から2018年まで仕送り総額は300億ドルになるとスペインの『EFE通信』が昨年4月に報じた。これはキューバが手にしている重要な外貨の1つである。
アメリカ国民のキューバ観光の制限
キューバを訪問する観光客は年間でおよそ500万人弱。その内の80万人近くがカナダとアメリカからの観光客である。現在、キューバでは60万人(4人の1人)が自営業者となっており、その大半が観光業に従事している。レストラン、ホテル、50年代の車を利用したタクシーなどがそれである。
スペイン紙『エル・パイス』によると、民間事業による観光収入は年間で30億ドルに上り、いかに観光がキューバにとって大きな収入源になっているかわかる。
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