43歳男に結婚を決断させた彼女の"絶妙な押し" 「つかみどころのない彼」はなぜ動いたか

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「でも、僕は飽き性なところがあります。しばらく付き合って相手の欠点が見えてくると、やっぱり違うのかなと思い始めてしまうのです。例えば、お金の支払い。毎回僕が出すのが当たり前のようだと困ります。話題が合わず、会っていても楽しくないと感じたこともありました」

では、美奈子さんは何が違ったのか。出会いの場である飲み会で連絡先を交換し、翌日に食事をしたことまでは普通である。しかし、その次の日から圭一さんは九州出張が決まっていた。

「会えない間も妻はLINEで優しい気遣いの文面を送ってくれました。だから、東京に戻って仕事が落ち着いた頃にまた食事に誘ったんです」

結婚を決めた運命の兆し

圭一さんによれば、美奈子さんとは「明るく、ハッキリした性格」が似ているらしい。美奈子さんのことはともかく、圭一さんは明朗な性格だとは筆者には思えない。どちらかといえば優柔不断でつかみどころのない人物だ。ただし、愛嬌はある。そんな圭一さんは彼女との間に運命の兆しを見いだし始める。

「まず、手の大きさがぴったり同じ。僕は男にしては手が小さいんです。血液型も同じですし、一緒に行った旅先の電車内では非常に珍しいというハートのつり革がある車両に乗ることができました」

手の大きさ、血液型、ハートのつり革……。正直言って、子どもっぽい理由である。そんなことで結婚を決めたとは思えない。圭一さん、夜勤続きで寝ぼけているのだろうか。

「うーん。えーと、ほかにも共通点があります。彼女の実家は僕の本籍地の近くにあることです。祖父母が新婚生活を送っていた隣町にあります」

東京都内の某区である。2人はその区役所に婚姻届を提出し、美奈子さんの実家から歩いて10分ほどのところに住んでいる。圭一さんは「共通点がある」と言いながらもその区内に住むことは渋った。美奈子さんだけでなく、以前に付き合っていた女性も長く住んでいる、という負の共通点があるからだ。

「妻からは『そんなことを言ったら、私の初恋の人だって同じ区に住んでいるよ。地元なんだから』と反論されました」

なんのこっちゃ、と言いたくなるような痴話げんかである。ただし、実家の話をして圭一さんの頭はようやく回り始めたようだ。父親同士の職業が同じで、実家の雰囲気も似ているという重要な点を思い出した。

「ともに金型工場の社員です。義父と酒を酌み交わしたとき、父と同じ匂いがしました。妻は20歳のときから一人暮らしをしていますが、実家は昭和を感じさせるアパートです。タワーマンションに住みたい、とか言い出さなさそうなところも決め手の1つでした」

価値観が合うと感じていた美奈子さんとでも「結婚するか否か」は大いに悩んだと圭一さんは打ち明ける。美奈子さんに問題があるのではなく、独身生活からの変化に「ビビっていた」のだ。踏み込んで本当に大丈夫なのか、と。だから、ハートの手すり発見から父親の職業の一致に至るまでの安心材料を探していたともいえる。

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