安易に投資に手を出す人が大やけどを負う必然 100万円が1年で138万円になる外債投資の本質
しかし、同じ銀行でもこれが定期預金になると、年利は0.010%になります。100万円預けて、100円儲かることになります。これは「基本的に決められた間は引き出さない(つまり、貸し付けたあなたは銀行に返済を求めない)」という取り決め(つまり、預金者にとっては制約)があるので、利子が上がるわけです。
銀行からすれば、よほどのことがないかぎり解約されない定期預金の分は、いつ引き出されるかわからない普通預金よりも多い割合を融資に回せるのでありがたいわけです。
1年で100万円が138万円になるのはなぜか?
もう1つ話をします。会社が何か画期的な新商品を出すと株価が上がりますね。これは、ニワトリが先か卵が先かという話ではあるのですが、多くの場合において「この会社は業績が好調になってもっと値が上がるだろう」と考える人が多いから株価が上がるわけです。売る人より買う人のほうが多ければ値は上がりますよね。
ところが、ある程度上がると、いまのうちに売ってしまったほうが得だ、ここでいったん儲けを確実なものにしてしまおうと思って、売る人が増えるわけです。利確(利益確定)売りというやつですね。ここから先は、どこまで売るのを我慢するかのチキンレースになります。
これは値動きが逆のときもそうですよね。大きな不祥事を起こした会社の株価は、どんどん下がります。そのうち戻すさ、と逆に張って買う人もいますが、会社が本当に潰れてしまったら紙くずになります。
国債も投資の1つです。国が何かお金を必要としていて、税金だけではお金が足りないという場合には、国債を発行します。会社と違って国はあまり倒産しないですが、それでも時々事実上の倒産、つまり債務不履行(デフォルト)することがあります。これをやると国の信用がガタ落ちします。それはそうですよね、この国はお金を貸しても返さなかった、という実績ができてしまうわけですから。
ところが、たびたびこの債務不履行を起こしている国があります。南米のアルゼンチンです。アルゼンチンは世界でもまれに見る債務不履行乱発国で、2020年5月には実に6年ぶり9回目の債務不履行を起こしています。6年ぶり9回目、甲子園か!と言いたくなりますね。甲子園でも結構な強豪校です。
当然、アルゼンチンの国債は利回りが非常に高く設定されています。アメリカの1年ものの国債は利回りが0.11%ぐらい、日本の国債に至っては利回りがマイナス、つまり満期になってお金に換えると元本割れして返ってくるという代物(それでも売れるのには理由があるのですが省きます)ですが、アルゼンチンの1年ものの国債は2020年8月の段階で利回りが38%になっています。
為替手数料などを省いて雑に計算すると、100万円分のアルゼンチン国債を買うと、1年で138万円になるということです。儲かりそう!と一瞬思いますが、要はそこまで利率を上げないと誰も買わないということなんですよね。
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