グーグル「クロームキャスト」の衝撃 4200円で「テレビでネット動画」を実現
「操作はシンプルで誰でもできる」。5月27日、東京都港区海岸の特設会場で会見したグーグルのマージド・ベイカーChromeエンジニアリング統括ディレクターは胸を張った。
実際に、クロームキャストの使い方は簡単だ。最近のテレビならたいてい付いているHDMI端子に差し込んでWi-Fiネットワークに接続すると、スマホやタブレット、パソコンをあたかもリモコンのように使って、さまざまなネットコンテンツをテレビで視聴できる。
スマホやタブレット向けのアプリとしては、まずYouTubeやGoogle Play(グーグルプレイ)、NTTドコモの定額制ビデオ配信サービス「dビデオ」、KDDIの「auビデオパス」に対応。クロームキャストにネットコンテンツを送り、操作する端末としては、グーグルのアンドロイド(Android)スマホ、タブレットに限らず、アップルのiPhone、iPadやMac、またパソコンでは、グーグルのネット閲覧ソフト「Chrome」と連動する。今後、クロームキャスト向けのアプリやウェブサイトが開発されれば、それらにも順次対応して、コンテンツが追加される見通しとなっている。
米国では売り切れ状態
クロームキャストは2013年7月にまず米国で発売され、その後、欧州などにも展開。日本は14カ国目となる。「米国ではアマゾンで売り切れ状態が続く」(グーグルの林豊パートナー事業開発本部統括部長)人気を呼んでいるという。
これまでもネット上の動画をテレビで視聴することはできたが、比較的高い初期投資が必要で、制約も少なくなかった。たとえば、主要テレビメーカーでネットに対応しているスマートテレビは、普通のテレビよりも価格設定が高いうえ、その製品を買わなければ機能を使えない。
アップルのiTunesが搭載され、ネット動画をテレビに再生できる機器である「アップルTV」は99ドルだが、アップル端末からの利用に限られる。また、家電量販チェーンのノジマは「スマテレスティック」と呼ぶ、アンドロイドスマホのアプリをテレビに映す機器を約2万円で2013年から販売している。これらと比べると、クロームキャストは半分以下の値段で、幅広い端末にも対応した上で、ネットコンテンツをテレビで楽しめるようにする点で、消費者に受け入れられる可能性がある。