スタバ震撼?「コーヒー界のアップル」日本へ 米ブルーボトルコーヒーの強烈な潜在力

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同じオークランドの高級住宅地オークランド・ヒルズのふもとにあるブロードウェイ店は、かつてはトラックのショールームで、20年以上借り手がなかった場所だ。店内の天井は高く、ゆったりしている。いつも生花が生けてある丸い木のテーブルに、地元の常連客がくつろぐ。住民たちの持つエスプレッソマシンを修理する場所も、カフェ内にある。150ドルを払えば バリスタにコーヒーの本格的な入れ方を学べる。まるで、アップルストア内で行われているマックブックの講習会のようだ。

オフィスやマンションの多いサンフランシスコ・南サウスマーケットにあるブルーボトルコーヒー店では、オフィスワーカーや住民のためにエッグベネディクトやスープ、サラダなど、食べ物のメニューを充実させている。平日は11時まで朝食、ランチは12時から14時30分まで、週末は14時までブランチを提供する。

サンフランシスコ・ミッション地区の広大なセラミック工場内にある店舗は、オープンスペースが多く、セラミックの売店があったり、セラミックの製造過程が見られたりする。人通りの多いエンバカデロ沿いの船着場でもあるフェリータワービル内の店舗は、アーケードの真ん中と北側の2カ所にコーヒーバーを常設。時には、ビルの外にコーヒーのカートも出す。周りにはトレンディなレストランや、オーガニックの野菜やチーズ、オリーブオイルを販売する店がある。アーティステックで流行のトレンドになっている都会の各所に、個性豊かな店舗を展開している。

ソムリエと話すようにバリスタと語る

実際に店舗を訪れた客に感想を聞いてみた。

「スターバックスの濃い味と違って、コーヒー豆を焙煎し過ぎていない。だから、苦くなく、甘味のあるマイルドな味」と常連のダイアン。ヨット乗りのダニエルは「焙煎してから10日経ったコーヒーを出すコーヒーチェーン店が多いと聞いたけど、ブルーボトルは目の前で豆を挽いて出してくれる。店員も感じがいい」と答えてくれた。

「朝はカプチーノ、昼はアイスコーヒーのニューオリンズ・スタイル・コールド・ブルゥ。もうほかでは飲めない」と語るのはマイク。マニアックな常連のジムは「ドリップコーヒーが好き。1カップずつ丁寧に入れてくれるのがうれしい。雰囲気が最高」と言う。ミルクで作った絵のある大きなカップで出てくるモカの1杯が、税込みで5ドル以上と高いのだが、アーティスト、エンジニア、銀行員、旅人らが列を作り、コーヒーが出てくるのを待つ間に会話する 。成功の秘密は、アメリカでは欠落していることの多い、徹底したカスタマーサービスとこだわりの味だ。

ブルーボトルのコーヒー豆は、CEOのフリーマン自らが買い付けている。小さな生産者から仕入れたフレッシュなオーガニックの豆を、軽く焙煎する。味は大手コーヒー店のダークで油っぽい味とは対照的で、柔らかく甘みがある。スターバックスと違って、無料WiFiサービスはない。

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