ホンダeに見た車が「ガジェット化」する未来 ホンダらしい「走る大人のオモチャ」の実力
シートやドアの表面生地には、濃淡のあるグレーのファブリックを採用し、ブラウンのシートベルトがアクセントとして映える。フロントシートは幅もたっぷりとしてしてなかなかの座り心地だが、一方でリアシートにそれほど広い印象はない。またヘッドレストは、折りたたんだときの収納性を考慮したせいか、いちいち引き出さないと座れなくて不便だ。
気になったのは、フロントシートの調整が、上級グレードのアドバンスでもマニュアル式だったこと。400万円を超えるクルマにパワーシートが装備されていないのことに驚いたのだ。これについて、ブランド・コミュニケーション本部広報部の木立純一さんに聞いてみると、「パワーシートには賛否があった。しかし、コンセプトが高級志向ではなく街乗りであるため省くことにした」と話してくれた。
RRレイアウトは“独自性”を追求するため
RRレイアウトを採用したパワートレーンは、ホンダ車としては新しい。三菱「i-MiEV」がRRレイアウトを採用していたが、こちらは軽自動車がベースだった。それよりも2回りほど大きなホンダeでRRレイアウトを採用したのは、どんな理由だったのか。
パワートレーンを担当したパワーユニット開発統括部の倉知郁雄さんは、「欧州に多い狭い路地をスムーズに走れることを想定して、当初はFFにする予定だった。しかし、試作車のパッケージングを見ると、他社のEVとあまり違わない。ホンダらしいパッケージングをどう追求すべきかを考え直したとき、RRという発想が浮かんだ」と言う。
もちろん、RRレイアウトを採用すれば、それに応じたデメリットも発生する。たとえば、カーゴスペースはある程度犠牲にならざるをえない。しかし、「クルマの性格上、それほど大きなスペースにこだわる必要はない」と割り切ったという。
むしろ、フロントにエンジンがない分、前輪の切れ角が大きく取れ、最小回転半径を小さく(=小回りが利く)できることは、“都市型EV”を標榜するホンダeにとって、メリットとなる。特に、当初から想定されていた欧州の狭い路地を走るには、大きなアドバンテージになると考えたわけだ。
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