中国の「新興EVメーカー」生き残りに必要な条件 小鵬汽車がアメリカで上場、競争は激化の一途
中国の新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車は8月27日、アメリカ・ニューヨーク証券取引所へ上場した。資金調達額は15億ドル(約1600億円)に達した。2018年9月にニューヨークで上場した上海蔚来汽車(NIO)、今年7月にナスダックに上場した理想汽車に続き、アメリカで上場した中国の3社目のEVスタートアップとなる。
中国政府の新エネルギー車(NEV)シフトを追い風に多くの企業が続々とEV開発に乗り出しており、直近5年間に誕生した新興EVメーカーは一気に50社を超えた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により消費マインドが低下したことから、中国のEV市場は急減速し、中国の新興EVメーカーが今、相次ぎ苦境に陥っている。淘汰の波は眼前に迫りつつあり、新興EVメーカーの生き残りをかけた競争は激しさを一層増している。
相次いで参入した新興EVメーカー
2014年4月、アメリカのテスラが初めて中国で「モデルS」の鍵を消費者に渡す納車式を開催した。自動運転機能の備わるEV史上初の高級セダンは中国IT業界の経営者に大きな衝撃を与えた。同年、「易車」(Bitauto、自動車情報サイト) の創業者・李斌が蔚来汽車(NIO)を上海で設立し、ネット閲覧アプリを手がけるUC優視の創業者何小鵬氏は、広州で小鵬汽車(XPENG)を設立した。
2015年、「汽車之家」(自動車情報サイト)の創業者・李想が、「車和家」(現在の「理想汽車・LEADING IDEAL」)を北京で設立し、民族系自動車メーカー吉利汽車(副総裁)を離れた沈暉は、威馬汽車(WELTMEISTER)を上海で創業した。
2014年から2018年までの5年間に前途汽車、奇点汽車、BYTON汽車、零跑汽車など多くの新興EVメーカーが創業した。2019年の生産実績を見ると、NEV乗用車メーカー66社のうち、生産台数1万台以上メーカーが18社、NEV商用車メーカー141社のうち、生産台数1000台以上メーカーが22社にとどまっている。
かかる中、中国政府が2019年7月から、NEV補助金を大幅に減らしたことから、同年の販売台数は初のマイナス成長を記録。新型コロナウイルスの影響や外資系メーカーの参入に加え、2020年の市場の競争がさらに激しくなり、新興EVメーカーのなかでも明暗が分かれている。
2020年1~7月の販売台数(登録ベース)では、NIOが1万7628台で新興EVメーカーの首位を維持。2位の理想汽車(1万2184台)、3位の小鵬汽車(8185台)、IT企業から参入した3社は新興EVメーカーの上位を占めている。一方、販売台数3000台を超えた新興EVメーカーは5社にすぎず、研究開発や試作段階にとどまっているメーカーも少なくない。
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