「e SKYACTIV-X」試作車に見たマツダの環境戦略

カーボンニュートラル時代への変革が始まった

公表された試作車の最高出力は、190PS/6000rpm。従来型の180PS/6000rpmからのゆるやかな増加は、特に4000rpm以上の高回転域での伸びとして実感する。一方で、トルク特性は大きく変わり、これが走りに直結していた。

トルクの立ち上がりが速く、しかも回転数が上がってもトルクの伸び感を維持している。一般的には「トルクの厚みが増した」と表現するのだが、そんな単純なものではない。数値で見ても、最大トルクは224Nm/3000rpmから240Nm/4500rpmと、トルクの発生回転数に大きな変化があることがわかる。

SKYACTIV-Xからe SKYACTIV-Xへの大幅な改良は、どのようにした実現したのだろうか。

パワートレイン開発・総合制御システム開発担当・執行役員の中井英二氏の説明の中で印象的だったのが、「狙いの燃焼」という言葉だ。狙いを定めて、排ガス循環(EGR)制御や、低回転域をカバーするモーターと吸気供給装置であるスーパーチャージャーとの連携などで「緻密化」したという。

そもそもSKYACTIV-Xは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジン、それぞれの燃料に対する考え方を融合させた、世界でも極めて珍しい存在だ。これをマツダは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)と呼ぶ。SKYACTIV-Xは、MAZDA3とそのSUVモデルである「CX-30」で量産されたが、まだ多くの改良の可能性を秘めている。

今回の改良は、主にソフトウェアで対応可能だ。むろん、エンジン単体ではなく、トランスミッション制御など動力系全体にわたる改良に対応したもので、マツダはSKYACTIV-X搭載車のユーザーに、e SKYACTIV-Xへアップデートするソフトウェアの無償提供を検討中だと言う。

世界で相次ぐ「環境対応」への宣言

今回のe SKYACTIV-X試乗日の前後で、CO2排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルや、その実現に向けたクルマの電動化について世界各国で新しい動きが表面化した。

時系列では、9月23日にアメリカ・カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が「2035年までに内燃機関(ガソリン車とディーゼル車)の新車販売を禁止する」と発言。10月2日には、ホンダがF1参戦終了を発表すると同時に「2050年までのカーボンニュートラルの実現」を公表した。

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