警察を動かした「電動バイク」メーカーの秘策 ペダル付き電動バイクを自転車として走らせる
サンドボックス制度が創設される以前は、認可を取るのに自転車なら経済産業省、保安基準なら国土交通省、そして道交法については警察庁と、それぞれの窓口を訪ねるしかなかったが、サンドボックス制度の創設によって1つの窓口で可能となった。
鳴海社長も「この創設で申請に弾みがついた」と振り返る。一方、この動きにglafitが本拠を構える和歌山市も動いた。glafitが目指す自転車モードの特例について、共同で応募することに応じたのだ。
和歌山市産業交流局産業部長の松村光一郎氏は、これについて「地方では公共交通機関が充実しておらず、特にクルマの運転から離れた高齢者にとっても(ハイブリッドバイクのような)身近な乗り物は欠かせない。加えて観光用としての活用も今後考えていきたい」ことが背景にあったという。また、共同で応募したことについては「地元発信のベンチャー企業としてglafitの提案を支えたいという思いもあった」と語る。
この応募は2019年10月に認可され、それ以降、glafitは自転車モードを新たに設定することで、普通自転車として認められるための実証実験に入った。期間は3カ月。和歌山市内で、一般ユーザーも参加し、繰り返された。そこで得られた参加者の声は「自転車道があっても車道を走らなければならず、大型車が多い幹線道路では怖い」「バッテリーが切れてペダルを漕いでいても自転車道を走れない」といったものだったという。
秘策はナンバープレートのカバー
そうした声を踏まえ、「やはり自転車モードは欠かせない」と判断。準備したのが自転車モード時は、ナンバープレートを隠すカバーを付けて周囲に自転車として認識してもらえる新機構だった。
カバーには、日本語がわからない外国人でもすぐに理解できるよう自転車マークを描き、カバーの上げ下げはバイク側の電源OFF時でなければできないようにもした。この結果、「新機構をつけたglafitバイクの電源をOFFにし、ナンバープレートを覆ったときは道路交通法上、普通自転車として取り扱い」されることになり、名実ともにglafitバイクが「自転車×電動バイク」のハイブリッドバイクとして認められることになったのだ。
一方、「この特例は他社製品でも認められる可能性はある」と、内閣官房成長戦略会議事務局の参事官補佐(総括担当)の萩原成氏は話す。
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