ホンダF1撤退に見たフェラーリとの決定的な差

ビジネスモデルによって異なるF1参戦の重要度

2020年シーズンはアストンマーティン・レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリ・ホンダの2チームにエンジンを供給する(写真:ホンダ)

それは、突然の連絡だった。2020年10月2日(金)、17時からオンラインシステムを使った記者会見を開催するというのだ。会見では、2021年シーズンをもってF1参戦を終了することが発表された。そして、記者との質疑応答の中で、ホンダの八郷隆弘社長は「参戦終了とは、再参戦しないことだ」と明言した。

それを受けて、筆者は八郷社長に「F1のホンダ、という企業イメージが強いホンダにとって、F1再参戦なし(という決断)はホンダ史上、極めて大きな出来事だと思う。ホンダのブランドイメージを今後、どう考えていくのか。電動パワートレインなどで他社との差別化は難しいのではないか」と聞いた。

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これに対して八郷社長は、「電動パワートレインやエネルギーマネージメントで今後、ホンダとして新たなるブランドを確立させたい」と説明するにとどめた。

新型コロナウイルスの影響で、今年のF1は開幕戦であるオーストラリアグランプリが開催直前にレースがキャンセルされ、当初は第11戦として開催する予定だった欧州オーストリアグランプリが第1戦となり、7月に開催。大幅なスケジュール変更に伴い、10月開催予定だったホンダのお膝元、鈴鹿サーキットでの日本グランプリは中止となった。

第5戦「70周年記念」で今シーズン初勝利を収めたマックス・フェルスタッペン選手(写真:ホンダ)

F1チームでは、マクラーレングループが5月にレース部門を中心として約1200人を解雇した。同社関係者は「量産車ビジネスへの影響も考慮し、経営陣の決断はかなり早かった」と、グループ全体としての生き残りのために必要な対応だったと指摘する。

このほか、ウイリアムズは8月末、経営権が創業者一族からアメリカ投資企業ドリントルキャピタルに代わった。両F1チームについては、アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセルがドライバーを務めた、ホンダエンジン搭載マシンによるホンダ黄金期を思い出す人も多いだろう。 

モータースポーツの歴史に見る3つの撤退理由

世界のモータースポーツ史を振り返ると、自動車メーカーがモータースポーツから撤退したタイミングは、大規模な事故、景気低迷、または排ガスなどの規制強化という、大きく3つのパターンがある。

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