米個人消費、9月は前月比1.4%増で予想上回る 消費者が少しずつ貯蓄を切り崩している可能性
[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した9月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比1.4%増と、8月の1%増から伸びが加速し、市場予想の1%増も上回った。しかし、失業者向けの政府支援が縮小し、追加の新型コロナウイルス経済対策のめどが立たない中、消費支出は第4・四半期に減速する可能性がある。
9月は自動車や衣料品に加え、ヘルスケア、スポーツ施設や美術館への支出など幅広く増加。しかし、コロナ禍の影響で航空旅行やホテルなどのサービスへの支出が低迷する中、全体の消費支出は年初の水準を引き続き下回っている。
個人所得は0.9%増と、8月の2.5%減から持ち直した。
貯蓄率は14.3%と引き続き高水準にあるものの、前月の14.8%から低下し、消費者が貯蓄を切り崩している可能性を示唆した。4月は過去最高の33.6%を記録していた。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇と、8月の0.3%上昇から鈍化。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する前年同月比は1.5%上昇と前月の1.4%から加速したものの、FRBが目標とする2%を依然下回り、インフレが抑制されている様子が浮き彫りとなった。
前日発表された第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比33.1%増と、統計が始まった1947年以来最大の伸びを記録。米経済の3分の2以上を占める個人消費は40.7%増と、歴史的なペースで伸びた。
第3・四半期は、失業に対する特別給付を含む潤沢な政府支援策で消費が底上げされた。ただこうした措置は相次いで期限切れを迎え、追加経済対策を巡る与野党協議の膠着が続く中、新たな対策導入のめどは立っていない。
PNCフィナンシャル(ピッツバーグ)のチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「新型ウイルス感染拡大に歯止めがかからず、感染拡大抑制策が再導入されれば、個人所得と個人消費は大打撃を受ける」とし、「政府の追加経済対策がなければ、景気回復はリスクにさらされる」と警告。FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「次回の個人消費支出統計では所得の大幅減が見込まれている。新型ウイルス感染が再拡大する中、第4・四半期は困難が予想される」と述べた。
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