ボックス、日本でもスタートアップ投資検討 アーロン・レヴィCEOが語る成長戦略

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5月下旬に初来日。オニツカ(アシックス)のシューズを履いていた。「日本に来るから履いたわけではなく、いつも履いているよ」。

ーー昨年、日本法人を設立し、これから活動を本格化する。創業から9年経っての日本進出は遅いように感じる。

そもそもボックスが国際展開戦略を打ち出したのはここ2年程のこと。私共のサービスを使っているお客様が世界中にいるため、現地でいろいろなサポートをしていく必要があると考えた。

国際展開という点では、日本は比較的早い国の一つだ。日本では非常にいいパートナーシップもある。今では、日本の大手企業のニーズにも合うようなツールも出揃っている。3~5年前であれば、まだそういったツールが揃っていなかった。その意味では、いいタイミングで日本に拠点を築けたと思う。アメリカ市場で十分なベータ試験をやってから日本に持ってきている、と考えてほしい。

日本でもエコシステムを生み出す

ーーセールスフォース・コムは日本で自社プラットフォーム上のスタートアップに少数株主として出資している。ボックスも予定はあるか。

アメリカではそうした投資イニシアティブを実際に展開している。我々のエコシステムに協力できるスタートアップに、いろいろと投資をしている。日本でも、多くの開発企業と協力をしていきたい。日本法人の役割は、日本企業への営業を行うだけでなく、日本のすぐれた開発企業と組んでエコシステム(生態系)を築くことだ。まだ時期などは決めていないが、当然のことながら日本でも投資イニシアティブを進める。スタートアップがあまり多くないため、刺激する役割も果たしたい。ただし、囲い込むことを狙って行うわけではない。

ーーボックスには企業が持つ膨大な機密情報が集まる。いろいろなデータが集まれば、それを活用したビジネスも考えられる。企業としては、そこが心配の種にもなるが、そうしたビジネスはやらないと宣言できる?

ボックスはエンタープライズを相手にしている。セキュリティー、データ保護ということは、最も重要だ。顧客のデータをきちんと保護すること自体がビジネスモデルであり、その信頼を破れば、仕事は来なくなる。そこがコンシューマ向けのビジネスを行っているグーグル、マイクロソフトとは異なっている。企業に提供する機能の深さ、サービスの幅広さという点でも、コンシューマ向けサービスとはまったく異なっていると思う。

(撮影:風間仁一郎)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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