「下北沢」新施設は日本の不動産概念を変えるか

開発地域しか価格が上がらないというジレンマ

下北沢にできた「ボーナストラック」は、ほかの商業施設とは明らかに違う点がある(写真:筆者撮影)

2020年に開業し、話題を呼んでいる2つの場所がある。1つは下北沢駅近くの「BONUS TRACK(ボーナストラック)」。もう1つは立川駅近くの最後の大規模開発で生まれた「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)」である。

ぱっと見てわかる共通点は無駄な、つまり、お金を生まない空間の多さ。だが、そこにこれからの地域の価値向上へのヒントがある。

ほかの商業施設と明らかに違う

まず、この2つの施設について簡単に説明しておこう。ボーナストラックは、2004年の着工から14年をかけて2019年3月に完了した複々線化と、地下化による路線跡地を利用した下北線路街の施設の1つ。下北線路街自体は3駅間約1.7kmに及ぶ細長い土地で、賃貸住宅、保育園、学生寮、飲食店を含む商業施設に温泉施設などと多彩な施設が並ぶ。ボーナストラックはそのうちの、下北沢駅から直線距離にして約150m、世田谷代田駅にも近い場所に立地する。

飲食、物販などの店舗が入っていることからすれば商業施設なのだが、このところの再開発で生まれる商業施設とは明らかに異なる点がある。最も大きな中央棟でも2階建て、500㎡ほどのサイズで、その奥に中庭を挟んで向かい合う4棟に至っては、100㎡ほどとごく小規模な木造2階建てで、しかも2階は住戸。いわゆる店舗併用住宅なのである。

一般的な再開発では建ぺい率、容積率は使えるところまで全部使って大きなモノを建てるが、ボーナストラックの場合、建ぺい率は許容される半分ほど、容積率は2割ほどしか使っていない。残りは中庭その他の緑になっている。豊かな印象はそのためだ。

もともとボーナストラックは、第一種中高層住居専用地域、第一種低層住居専用地域(以下第一種住専)という2種類の用途地域にまたがって作られており、第一種住専は主に住宅を建てることとされる地域。収益を目的とする店舗、オフィスは建てられない。

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