ラッピング車両は走る地域によって条例などの制限があるため、色合いやデザインは少しずつ異なっているが、リニューアルに伴いやや明るい印象だった車体色を修正、クリーム色をした窓周りの帯の形状なども本物により近づけたという。が、一見するとキャッチコピーやくりぃむしちゅーの2人以外はどこが変更になったか、わからないほどの細かなこだわりだ。
また最初から新デザインでデビューした熊本市電の場合は、他地域の路面電車とは違い、前面中央に大きな前照灯が陣取る古いタイプの車両。このため、本来の前照灯をヘッドマークに見立てられるよう工夫をし、逆にダミーの前照灯を窓の上にオレンジ色でなんとか2つ配置した。
大場さんは「SNS上で『熊本でも京急が走った』と話題になったときはうれしかった」と振り返る。熊本市はくりぃむしちゅーの2人の出身地でもあり、地元の人たちの思い入れも強いようだ。
転機となるはずが…
2020年は京急だけでなく、ライバルの東京モノレールにとっても大きな転機の年となるはずだった。東京五輪の開催を控えて航空需要が大幅に拡大することを見据え、羽田空港はターミナルを再編。3つのターミナルのうち、主に全日本空輸(ANA)が国内線の拠点とする第2ターミナルからも国際線が発着できるように機能を強化した。
再編にともなって3月14日、国際線ターミナルが「第3ターミナル」に改称。東京モノレールと京急の駅名も同時に変更した。東京モノレールは羽田空港第1ビル、同第2ビル、同国際線ビルの3駅を、それぞれ羽田空港第1~第3ターミナル駅へ改名。京急の羽田空港国際線ターミナル駅は「羽田空港第3ターミナル駅」に、羽田空港国内線ターミナル駅は「羽田空港第1・第2ターミナル駅」へ名称が変わった。
ところが同じ頃、新型コロナの感染拡大が深刻化。海外の主要都市と結ぶ国際線は渡航制限や運航休止の影響がすでに出ていた。国内線もテーマパークの休園や出張の見合わせで利用者減の傾向にあったが、4月以降は緊急事態宣言の発出、県境を越えた移動自粛要請などにより、ビジネス・レジャー両面の需要が急速に縮小した。
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