全国の京急「ウソ電」、知らぬ間にリアルに変貌 人知れずリニューアルして日本各地で活躍

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第1号の大阪モノレールこそ外観のインパクトに反して地味なデビューだったが、ゆいレールやことでん(高松琴平電気鉄道)では、それぞれ地元で出発式を開催して知名度向上を図った。ゆいレールの式典では京急の動力車操縦者養成所で教習を受けた運転士が、指導した京急元運転士と再会。ことでんでは、譲渡した元京急車両の「1000形」について両社の整備担当社員が語る、といった場面を用意して盛り上げた。

大阪モノレールの旧デザイン。車体に「都心へビュン。京急!」と書かれている=2019年6月(記者撮影)

2018年までに各地に登場した京急ラッピング車両は、2006年から“京急アンバサダー”を務めるお笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の上田晋也さん、有田哲平さんの姿とともに「都心へビュン。京急!」の文字を車体にデザインしていた。だが、2020年の春、世間が新型コロナウイルスという未知の脅威に気を取られている間に、いずれも少し異なるデザインに衣替えした。

担当者「本物のウソ電らしく」

同社は2019年7月に「KEIKYU for YOU」をコンセプトにした新たな広告キャンペーンを開始。女優の黒島結菜さんを起用して三浦半島の魅力を発信するテレビCMの放映を始めた。同年10月1日には消費増税に伴う運賃改定に合わせて、空港線の天空橋―羽田空港国内線ターミナル駅間と、ほかの区間をまたがって乗車する場合に設定していた加算運賃を引き下げた。品川駅まではきっぷの場合、従来の410円から300円へ110円安くなった。

熊本市電の京急ラッピング車両。本物らしい「ウソ電」を目指したという(記者撮影)

これらを反映して、2020年2~3月に全国各地のラッピング車両を「KEIKYU for YOU」のデザインに順次リニューアルした。車体に女子受けもしそうな手書き風の書体で「京急なら、都心へお得でスピーディー。」「羽田へまっすぐ for YOU」と書き入れ、羽田空港―品川間が最速11分、300円で乗車できることを強調した。

同社営業企画課の担当者、大場優樹さんは「当社の電車の色に近くなるように変え、より『本物のウソ電』にしたかった」と説明する。そのうえで「地方に住む人が東京に来たときに『家の近くでも走っている赤い電車だ』と思って京急を利用してもらえれば願ったり叶ったりだ」と話す。

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