夫の定年時「5つ以上年下の妻」は注意が必要だ 「専業主婦の妻」は何歳まで夫の扶養に入れる?

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国民年金は20歳から60歳まで40年間加入義務がありますが、夫が60歳以降も会社員として勤務している場合は、引き続き厚生年金被保険者になると同時に、国民年金としては第2号被保険者となります。そして、健康保険についても被保険者になります。その夫の「60歳になっていない妻」は引き続き年金と健康保険の扶養に入ることができます。夫が在職中であれば、妻は年金、健康保険ともに保険料の負担をなしとすることもできます。

もし、夫が60歳で退職していれば、「60歳未満の妻」は第3号被保険者として年金制度上の扶養には入れず、第1号被保険者として60歳になるまで国民年金保険料(2020年度:月額1万6540円)を納付する義務があります。

65歳から受給できる老齢基礎年金の額は保険料の納付実績に応じて計算されます。第3号被保険者は保険料負担がないまま、納付扱いとして計算されますが、第1号被保険者は国民年金保険料を納付しないと納付扱いとして計算されません。健康保険に関しても、退職した夫が2年間任意継続被保険者(保険料は被保険者本人分と会社分両方負担)になる間を除き、妻は扶養に入ることができなくなり、夫婦で自営業者・退職者向けの国民健康保険に加入することになります。

一方、妻が先に60歳を迎えると、妻は60歳以降年金制度上の扶養に入れません。国民年金の第3号被保険者は60歳までのためです。ただし、夫が在職中であれば、引き続き健康保険の扶養には入ることができます。

夫が65歳になったとき、60歳未満の妻は要注意

60歳から5年後の65歳を迎えると、2階建てで老齢基礎年金と老齢厚生年金(厚生年金被保険者期間がある場合)を受給できるようになりますので、在職していても本格的に老齢年金を受給する側になります。

70歳定年時代が近づきつつあり、夫が65歳以降も継続勤務していることがあるでしょう。夫が先に65歳になった場合で、65歳以降も在職中の場合、夫婦の年齢差に注意です。夫65歳時点で妻が60歳になっていない場合、妻は引き続き健康保険の扶養には入ることができますが、年金制度上の扶養に入ることができません。

国民年金第3号被保険者というのは「国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者」となります。65歳以降の在職期間は、65歳前の在職期間と異なり、厚生年金被保険者にはなっても、国民年金第2号被保険者にはなりません。そのため、65歳以上の厚生年金被保険者の配偶者は60歳未満でも第3号被保険者にはなれないことになっています。そのため夫の65歳以降、60歳未満の妻は第1号被保険者になり、60歳まで国民年金保険料の負担が発生することになります。

ただし、第1号被保険者は、納付義務のある国民年金保険料に上乗せで400円の付加保険料を納めることができます。1月当たり400円の付加保険料を納めると、年額200円の付加年金が65歳からの老齢基礎年金に加算されることになります。

2年で元が取れる年金となっており、3年(36カ月)分であれば、負担する付加保険料は1万4400円(400円×36)であるのに対し、65歳から年額7200円(200円×36)の付加年金が受けられることになるでしょう。第3号被保険者では付加保険料は納められませんでしたが、この際、国民年金保険料と一緒に付加保険料も併せて納めてはいかがでしょうか。

妻が先に65歳を迎え、夫が65歳未満で在職中であれば、65歳になっている妻が健康保険の被扶養者になることができます。この場合は、60歳をすでに過ぎている妻に年金保険料の負担がありません。なお、夫も妻も65歳以降は、介護保険料が市区町村から徴収されることになります。

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