「小児性愛者による闇政府」信じる人が多い理由

大統領選前に「Qアノン」が勢いづいてきた

過激な陰謀論集団「Qアノン」を信じる人が増えている(写真:Anna Moneymaker/The New York Times)

幼少期から保守派だったダイアン・パットナムさんは、ほとんど毎日をアメリカ共和党の地方事務所で過ごしている。政治に興味を持つようになったのは、アイゼンハワー大統領の時代。幼いパットナムさんは周囲にアイク(アイゼンハワー)好きを触れ回っていた。

それは今も変わらない。だが、このところパットナムさんの関心は、ある陰謀論に引きつけられている。悪魔崇拝の小児性愛者からなる「ディープステート(アメリカを影で操る闇の政府)」がトランプ大統領の失脚をたくらんでいる、というものだ。要するに、パットナムさんは過激な陰謀論集団「Qアノン」の信奉者ということになる。パットナムさんは、Qアノンを信じている人は自分以外にもたくさんいると話す。

普通の共和党員もQアノン

「たくさんの人たちがQアノンに理解を示している」。ジョージア州の小さな都市で共和党地方組織の代表を務めるパットナムさんは、最近の取材にこう語った。「Qアノンを知らない人たちは、Qアノンについてよく調べていないだけ」とパットナムさん。

アメリカ全土で、パットナムさんのような昔からの共和党員、つまり傍流の過激派とは言いがたい党員の間でQアノンを支持する人々が増えている。

Qアノンはインターネットから広まった現象だが、その信奉者はトランプ氏をアメリカの救世主と考えている。腐りきった民主党のエスタブリッシュメント(支配層)と共和党のエリート層からアメリカを救うためにトランプ氏が遣わされた、という世界観である。

選挙戦が終盤にさしかかり、トランプ氏がこのような陰謀論を引き合いに出す場面は増えるばかり。トランプ氏の発言がいっそうの刺激材料となり、Qアノン信者は「救世主トランプ」の信仰を、減税や小さな政府といった伝統的な大義と並ぶ、保守派の「本流」へと押し上げつつある。

トランプ陣営でQアノンの影響力が高まってきていることは、10月15日夜にマイアミで行われた対話集会でもはっきりとした。トランプ氏はこの夏、Qアノンの愛国心を称賛していたにもかかわらず、集会でQアノンについて問われると、最初のうちはそのような運動は知らないと主張していたものの、さらに問い詰められると、こう述べた。「彼らが小児性愛に強く反対しているということは聞いている。(彼らの意見は)まったく、そのとおりだ。私は強く賛同する」。

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