「新宿」ビックリするほど激変する再開発の全貌 渋谷の次はこの街が主役、先手を打つ小田急

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小田急が新宿に建てる新ビルの完成イメージ(写真:小田急)

同社が建設するのは高さ260メートル、地上48階の大型複合ビル。低層階が商業施設、高層階がオフィスとなる。「スクランブルスクエア東棟と同程度の規模感」と小田急の担当者は話す。2022年度に着工し、2029年度の完成を目指す。完成後は高さ243メートルの東京都庁舎を抜き、新宿西口の新たなランドマークとなる。小田急の敷地に隣接する東京メトロの敷地も使うため、両社の共同事業となる。

2029年度竣工予定の新たなビルには「現在の小田急百貨店と同じ規模」(小田急の担当者)の商業施設の入居を計画中。百貨店とは限らず、ショッピングモールになる可能性もある。新宿西口には京王プラザなど鉄道系のホテルが複数あることから、「ホテルの入居は考えていない」(小田急)という。再開発を視野に取得したスバルビルはすでに解体されているが、跡地にビルは建てられず、広場として活用される。スバルビルの敷地を広場にしたことで、その分の容積率を高層ビルに上乗せした。

小田急百貨店(記者撮影)

京王百貨店とルミネ1、ルミネ2はどうなる?

気になるのは、小田急百貨店と同じく西口にある京王百貨店のビルと、東口にあるJR東日本系のファッションビル・ルミネエスト新宿、および南口にあるルミネ1、ルミネ2の動向だ。とくに京王百貨店のビルとルミネエストは完成から半世紀を経ており、この機会に再開発されることが確実視されるが、京王とJR東日本の担当者ともに「まだ話せる段階ではない」という。

京王百貨店(記者撮影)

新宿駅の周辺ではほかにも再開発の動きがある。新宿駅の正面にある明治安田生命ビルも隣接する中小ビルと合わせ建て替えられ、2025年に地上23階建てのビルに生まれ変わる。また、西口にあるヨドバシカメラなどの量販店や飲食店などが建ち並ぶエリアでは、地主や事業営業者らが再開発の手法に関する協議会を2015年から行っている。議論の結果次第では、このエリアでも小規模ビルをひとまとめにして大型の建て替えが行われる可能性がある。

今回の新宿再開発について小田急は「ビジネス創発機能を整備し、イノベーションを創出したい」と意気込むが、IT系のスタートアップが集積する渋谷との違いはあいまいだ。新宿駅は1日約380万人が利用する世界一のターミナル駅だ。その特徴を生かしつつ、独自性のある再開発を行えるかが成功の鍵となる。

『週刊東洋経済』10月31日号(10月26日発売)の特集は「不動産 熱狂の裏側」です。
大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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