新しくなった「iPhone 12」、驚きのカメラ性能 通信速度はどれほど変わったのか、実測した

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6.1インチ有機ELディスプレーは、Proモデルではより明るいディスプレーを備える。液晶だったiPhone 11に比べて、画面上部の切り欠きの幅は小さい。5G設定は、標準では5Gを積極的に使わない「5Gオート」となる(筆者撮影)

アップルもそのことをわかってか、積極的に5Gを利用しない設定を標準としている。設定アプリのモバイル通信のオプションでは、購入した際「5Gオート」にセットされており、バッテリー持続時間が大幅に遅くならないときにのみ5Gが利用される状態で出荷される。つねに5Gを優先的に利用するためには「5Gオン」にしなければならない。

筆者はNTTドコモを利用しており、新宿や秋葉原などの繁華街で深夜の時間帯に速度計測を行ってみたが、5Gの電波を安定的につかむことは難しく、速度も実測で150Mbps出たらよいほう、という感覚であった。そして驚くべきことに、4Gで速度計測をすると、300〜550Mbpsを記録した。4Gインフラが充実するドコモでは、むしろ4Gの速さに驚かされる結果となった。

今後数年かけて、日本でも5Gインフラが整うようになるが、当面は4Gとの併用を前提としていくため、スポット的に5Gでの速度向上を見込むことができる、という体験が増えていくだろう。iPhone 12にしたからすぐに1Gbps級のスピードが手に入るわけではない点は、留意しておくべきだ。
加えて、スタジアムなどでの高速同時多接続を実現するミリ波は、日本向けのiPhone 12シリーズではサポートしない。

物理と処理で進化したカメラ

iPhone 11をレビューした2019年、そのカメラ性能の進化を「非線形」と表現した。順当な進化を飛び越えて、まったく異なる性能を発揮するようになったためで、とても驚かされたことを1年間覚えていた。しかしiPhone 12は、昨年から比べて再び非線形の進化を遂げた、と評価すべきだ。

iPhone 12で撮影したハンバーガー。コショウの立体感やシズル感が豊かに再現されている。新しいf1.6の明るい広角レンズ単体のボケ味は、やや散らかった印象だ(筆者撮影)

風景を撮ると、手元の草むらと空の双方で、豊かなテクスチャ(質感)が再現される。太陽をバックに自撮りしても、ちゃんと顔が写り、空の雲もくっきり。食べ物を撮ると、立体感、シズル感豊か。花を接写しても、美しい発色と花弁が緩やかに波打つ様子が再現される。東京の夜のビル群では光が十分なのか、長時間露光合成のナイトモードはなかなか発動しなくなっていた。

こうしたカメラの向上は、「物理的な進化」と「処理の進化」の両面が加わったことが理由だと考えられる。

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