「キミスイ」「夜に駆ける」生む投稿サイトの凄み 誰でも小説家になれる時代が到来している
80万部を超えるベストセラーとなった『君の膵臓をたべたい』や、BOOK☆WALKER大賞2018を受賞した『転生したらスライムだった件』、そして『Re:ゼロから始める異世界生活』――。
これらの話題になっている作品は、小説投稿型のWebサイト「小説家になろう」から誕生したものだ。「小説家になろう」は、素人のWeb小説が読めるサイトを作りたい、という想いから、2004年にヒナプロジェクトの代表の梅崎祐輔氏が立ち上げたサイトである。
同サイトは、ほぼ100%広告収入で賄い、月間アクセス数は約20億PV(2019年4月時点)と立ち上げ以来、右肩上がりで成長を続けている。
小説を書きたい人がいつでも自由に投稿できるのが、「小説家になろう」が人気を得ているポイントの1つ。書き手は「短編」「連載」の2種類から投稿形式を選ぶことができる。
作品を公開すると、感想の投稿やレビューの投稿もされるため、読者の反応を知ることができる。
投稿された作品数はじつに76万作品以上(2020年10月時点)。そのうち、250タイトル以上が出版社から書籍化され、さらには映画化にも繋がるようなヒット作品も生まれている。
一度は書籍化に至らなかった『君の膵臓をたべたい』
代表的な作品の1つが『君の膵臓をたべたい』だ。実は本作は作者の住野よる氏がコンテストに応募したものの、書籍化に至らなかった背景がある。ところが住野氏が同作を「小説家になろう」に投稿した結果、サイトでの反応は上々で書籍化が決定。やがてベストセラーとなり、実写映画化にも繋がった。
一度書籍化は難しいと判断された作品が脚光を浴びたわけだが、その現象についてヒナプロジェクトの取締役である平井幸氏はこう説明する。
「新人作家の作品が書籍化や映像化されるためには、出版社への持ち込みやコンテストで入賞する事が一般的なルートでした。仕方のないことですが、書籍化のハードルは高く、作家にとって狭き門になっていました。
しかし、既存のルートから弾かれても、作品を発表できる場所を提供できたことで新たな可能性が生まれるケースが増えてきました。小説家を目指す人の新たな道を作れたことは、サービスを作ってよかったなと思う瞬間です」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら