子供部屋がないほうが、家族仲がより深まる訳 在宅長時間化で親と子の居場所はどうなるか

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話を聞いて思ったことは、「子ども部屋」のような使う人を限定した部屋分けではなく、寝る場所、仕事や勉強をする場所、くつろぐ場所、会話する場所など、空間を機能で分けるほうが、テレワーク時代には適しているということだ。

そもそも「ホームコモンズ」は、「寝学分離」の発想から来ているというが、「子ども部屋」にベッドも机と椅子も入れてしまうと、子どもが部屋に籠もることになる。勉強するのは「ホームコモンズ」、眠るのはベッドルーム、くつろぐのはリビングなどと、機能を分ければ、子どもたちも部屋を使い分けることになる。

寝るためだけの「キッズベッドルーム」と学びを育める「ホームコモンズ」で、「寝学分離」を実現(写真:ミサワホーム提供)

リビングも、一般的には家族が集う場所でもあり接客の場所でもあるので、来客向けなのか家族向けなのかあいまいになる。

接客スペースを別に用意したり、接客する機会が少ないなら接客の機能を設けないという発想もあるだろう。家族の集いに特化して、子どものお遊戯を祖父母に見せるといった‟ハレ舞台”の空間を設けるのもいいかもしれない。

憩いの場としては、一戸建てであれば庭やテラス、屋上を利用したり、マンションであればバルコニーを利用したりして、洗濯物を干したり、植物を飾ったりする以外の機能を持たせるのも有効活用になる。

暮らし方は家族ごとで異なるので、家族のライフスタイルに応じて、住まい全体を機能分けして使っていくのが、効率的で快適ということになるだろう。

マンションでもワークスペースの提案

その一方で、集中した作業をするときやWeb会議、オンライン授業のときには、閉ざされた個室が必要だ。このコロナ禍でハウスメーカーなどの各社が、ワークスペースとなる個室を提案している。

マンションでも、東急不動産がコクヨと共同でコックピット型ワークスペースを提案したり、NTT都市開発がユナイトボードと共同で再生強化紙段ボールによる1畳書斎空間を提案したりしている。

ミワサホームでも2013年時点で、Web会議を意識した在宅ワーク空間として、2.5畳サイズの「ミニラボ」を発売しているが、外からカギがかけられるようにしている点が面白い。仕事を自宅に持ち込むとセキュリティの問題もあるので、テレワーク時代にこそ重要となるかもしれない。

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