子供部屋がないほうが、家族仲がより深まる訳 在宅長時間化で親と子の居場所はどうなるか

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さて、子育て世帯に対応した間取りを提案するハウスメーカーは多いが、心理学の理論に基づいて、親と子の距離感のプランを提案している事例は珍しい。なかでも、筆者がとくに興味を持ったのは、第4ステージの共用ライブラリー「ホームコモンズ」の空間だ。

コロナ禍でテレワークが普及し、自宅で仕事をする経験をした親たちは、仕事をするのに適した場所がないという不満を募らせた。自分の個室がないので、子ども部屋を借りたり、リビングの一角をワークスペースにしたりと、さまざまな工夫をした。中には、浴室や自家用車の中でオンライン会議に参加したという人もいたと聞く。

第4ステージには、家族それぞれの専用の机・椅子があり、共同で何かをできるようなテーブルも設置した「ホームコモンズ」を提案している(写真:ミサワホーム提供)

「ホームコモンズ」のような部屋があれば、専用の席があるため、堂々と出入りができるし、仕事や勉強のための部屋とわかっているため、仕事を妨げられることもない。

さらに机まわりを見るだけで、今何に取り組んでいるのか、どんなことに関心があるのかが互いにわかるので、会話の機会を得ることもできる。ミサワホームでは2012年に商品化しているが、テレワーク時代の住まいとしても、使い勝手が良さそうだ。

部屋をどう使い分けたらよい?

さらに、ミサワホーム総合研究所では、コロナ禍で「これからの在宅型テレワーク」の研究・提案も行っている。そこで、研究員の富田晃夫さんと森元瑶子さんに、住まいの中の部屋の使い分けについて聞いてみた。

基本的には、在宅勤務の空間も、オフィスの場合と変わらないという。例えば、オフィスでは、それぞれの席で各々の仕事を行っているが、互いに邪魔することはなく、それでいて「忙しそうだ」「困っているようだ」といったことがわかる。

また、集まって議論するときは会議室に移動するし、気分転換したいときはラウンジに行き、集中したいときは席ではなく別の場所に行ったりする。

住まいの場合も、専用席がある「ホームコモンズ」で仕事をするだけでなく、気分転換やリラックスして発想を膨らませたいときには、外の景色が眺められる場所でアイデアを練ったり、集中して仕事をしたいときやWeb会議をするときには、集中専用の個室に入ったりと、1カ所で仕事をするのではなく、仕事の内容に応じて部屋を使い分けるのがよいという。

住宅の広さや形態によっては、「ホームコモンズ」などの空間が作れない場合もあるだろう。そうしたときでも、ワークウェアに着替えたり、仕事ゾーンを設けたりして、「この状態のときは仕事をしているとき」というメリハリをつければ、自身もオンオフの切り替えができる。また、子どもも2歳前後になれば「ここは誰の席」といったことが認識できるようになるので、邪魔しないようになるとのことだ。

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