アート業界で「パワハラ」の告発が相次ぐ事情 不条理なほど大量の仕事を押し付けられる事も

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――最近、アート業界の労働問題の告発が目立つのか?

電通の労災事件など、インパクトのある労働問題が注目を集めて、社会全体として、多少、働き方に関する意識が変わってきたことがあると思います。

直接的な労働問題ということではないですが、アート業界とジェンダーという点でいえば、2015年から「明日少女隊」というフェミニストグループが始動したり、2019年に『美術手帖』で「ジェンダーフリーは可能か?」という連載が始まったり、2020年には「EGSA JAPAN@芸術におけるジェンダー/セクシュアリティ教育を改めて考える会議」がつくられたりと、アートの内側から声があがるようになりました。

ずっとあった問題が表面化した

それらが後押しになって、「私だけが我慢すればいいと思っていたけど、社会問題なんだ」と気づく人が増えたのかなと。ずっとあった問題が、ようやく表面に出てきたということです。

一方で、実際いくつかの事例をみても加害者だけでなくそれを擁護する「側近」的な人もいて、この構造的問題は根深いなと思わされます。しかしいいかげん、素晴らしい作品やプロジェクトであればどんな人権侵害があってもよい、という発想は捨てるべきでしょう。

世の中でも、労働のあり方が変化してきています。労働時間をタイムカードではかれない仕事、ウーバーイーツのような雇用関係ではないフリーランスの働き方がますます広がっています。こうした働き方は、私が調査してきたアートの現場と地続きです。

――どうやって、アート業界の労働環境を変えていけばいいか?

働いている身として、正当な対価をきちんともとめていきましょう、ということに尽きます。雇用契約を結んだ人は手にした労働者としての立場で交渉すること、業務委託の人もできるだけ契約書で取り決めて自衛することです。そのための知識やスキルが広く共有されるといいですよね。

また、雇用側の意識が変わることが、いちばんの近道だと思います。そのためには、結果のためならあらゆる犠牲をいとわないというような考え方や、年齢や性別役割にとらわれた”昭和的”な価値観を破棄し、せっかくアートなのだから、時代を先取りするような人間らしい働き方を体現していけるといいと思います。

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