「パパ育休」は収入減に見舞われるという誤解 取得の仕方によっては手取りが増えるかも

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まず、給料40万円、ボーナス70万円の会社員のパパのケースで見てみましょう。育休を取得しないときは、給料とボーナスから、所得税、住民税、社会保険料が差し引かれます。その結果、給料は手取り32万円ほど、ボーナスは手取り53万円ほど。合計すると手取りは約85万円です。

このパパが育休を1カ月取得すると、手取りはどうなるでしょうか。

育休手当は給料の67%ですから、40万円×67%=26万8000円です。一方、ボーナスからは税金のみ差し引かれますから、70万円のボーナスは、手取り63万円ほどになるでしょう。育休手当とボーナスを合計すると手取りは89万8000円です。育休を取得しないときに比べて、4万8000円増えました。

ただし、ボーナス月以外で育休を取得するときは、手取りは育休手当の26万8000円のみです。普段の手取りが32万円なので、16%ほど収入が減ることになりますが、育休手当は給料の67%(つまり33%の減少)にもかかわらず16%の手取り減少にとどまると考えることできます。実質は8割余りの収入を確保できるのです。これは、育休手当には税金も社会保険料もかからないからです。ボーナス月以外に育休を取得しても、家計には致命的な影響を与えるほどではないといえるでしょう。

5日間の取得なら手取りはほぼ変わらない

さて、1カ月育休を取得するケースで手取りの違いを計算しましたが、実際、1カ月も育休を取得する男性は少数派です。「平成30年度雇用均等基本調査」によると、取得期間は「5日未満」の割合が約4割と最も多くなっています。

では、もし5日間育休を取得したら手取りはどうなるでしょうか。

仮に10月26日から10月30日まで育休取得するとしましょう。10月1日から10月25日までは、会社が休みの日を除いては仕事をしています。したがって、給料をもらうことができます。本来の出勤日数の8割出勤したとすると、40万円の8割、32万円が支給されることになります。

残りの5日間(10月26日〜30日)は育休を取得しますから、10月については社会保険料免除月となり、給料に対して社会保険料が免除されます。32万円から差し引かれるのは税金だけとなり、手取り27万円ほどになります。そのうえ育休手当を5日分もらうことができます。社会保険料も税金もかからない育休手当は5日分で4万5000円ほどです。すると、給料と育休手当合わせて、手取りは合計31万5000円。育休を取らないときの手取りが32万円ですから、ほぼ変わらない金額になります(ただし、住民税が非課税になるのは翌年ですから、育休期間中は前年の収入に対して住民税を支払うことになります)。

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