在宅勤務でかえって疲弊する人々の密かな苦痛

メリット大きいが業務過多や心を病むケースも

これらを解消するためにも柔軟勤務制やテレワーク、在宅勤務は重要だ。厳密に言えば、テレワークと在宅勤務は柔軟勤務制に含まれる。柔軟勤務制を通じて生産性と効率性は高まる。会社としてはオフィスの維持費用が削減でき、社員としても通勤による時間と費用を減らせる。

むしろメンタルを病む可能性も

メリットも多く合理的な制度に見えるが、だからといって、短所がないわけではない。テレワークは仕事と日常の境界を壊しやすく、むしろワーク・ライフ・バランスを乱す恐れがある。実績で評価され、与えられる自律性の分だけ会社と社員間の信頼も重要になる。そのため、むしろ会社に出向いて働いていた時よりも仕事に打ち込んでしまい過労になるという指摘もある。

統制がないまま自律的に働くと、気持ちが緩み仕事に身が入らなくなるのではないか──人々のそうした懸念とは逆の結果を生むという予想は、十分あり得る。

物理的には非対面・非接触であるが、ネットワークの連結という面では対面過多や接触過多になる恐れもある。そのため、テレワークをするためには時間の管理とコミュニケーションの管理が重要になる。境界確保のために業務時間外にはあえて職場とのつながりを絶つという社員も増えるだろう。

テレワークのための法律ではないが、フランスでは2017年1月1日より「つながらない権利法」(right to disconnect)が施行された。文字通り退社後に会社や上司とつながらない権利が法的に保障されるのだ。2013年ドイツの厚生労働省は、非常時を除き業務時間外には上司が社員に電話やメール連絡をできないようにする指針を発表している。

イギリスでは労働党の大物政治家で産業相を務めたレベッカ・ロング=ベイリーが、常につながれる「24/7文化」〔訳者注:24時間、週に7日間「常に」という意味〕の終息を宣言している。

ダイムラー・ベンツグループの場合、休暇中の社員のメール受信を自動応答にし、除去するシステムを運用している。休暇中の社員に送られたメールを分析したところ、業務上本当に重要な社内メールは20%程度であり、それらのメールも上司や同僚で十分にカバーできるものだった。そのため、休暇中の社員には業務メールが届かないよう制度化したのだ。

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