テスラが「電池の自前化」にトコトンこだわる訳 提携先との関係曲折はパナソニックだけでない
[17日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラを16年間でほぼ無名の状態から世界最大の時価総額を持つ自動車会社へと大成長させたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、革新者であり、既成概念を打破する人物だともてはやされている。
しかしマスク氏の行動をたどってみると、むしろ「ファーストラーナー(知識や技術の獲得が早い人物)」という側面が強いことが分かる。テスラに欠けている技術を持つさまざまな企業と提携し、そうした企業の選り抜きの人材を引き抜いた上で、よりリスクを嫌うパートナーたちが超えられなかった限界を突破してきたのだ。
現在、マスク氏をはじめとするテスラ首脳陣は、22日に開く「バッテリーデー」で、サプライヤーにあまり頼らない、より「自給自足」的な企業になるための新たな取り組みを発表する準備を進めている。
低価格で長持ちする新型バッテリー
テスラが目指しているのは、EVのコストを下げてガソリン車との競争力を高められるようにする、低価格で長持ちするバッテリーの生産だ。マスク氏はこの面で、22日に大きな技術的進歩を明らかにすると何カ月も前からほのめかしてきた。
新しいバッテリーセルの設計や製造過程などが確立できれば、テスラはバッテリー生産で長年提携してきたパナソニック<6752.T>への依存を減らすことができる、と事情に詳しい関係者は話す。
テスラの元役員の1人は「イーロン(マスク氏)は事業のどんな部分も他者に依存するのが嫌いだ。そして良くも悪くも、彼は自分の方がうまく、迅速かつ安価にできると思っている」と明かした。
パナソニックや韓国のLG化学<051910.KS>、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)<300750.SZ>と結んでいるバッテリー生産の提携関係を、テスラは今後も継続するとみられている。