中国に帰る「神戸のパンダ」25年の劇的な半生 飼育員は赤ちゃんを失ったタンタンを支えた

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そんなタンタンと飼育員さんは日々、以下のようなスケジュールをこなしている。飼育員さんがタンタンにエサを与える時刻は、7時45分、10時、11時45分、13時30分、17時。ハズバンダリートレーニングは17時のエサやりの前に行う。これらの合間に飼育員さんは監視カメラの映像チェック、パンダ舎の掃除、パンダの行動観察などをする。

ちなみにタンタンが汚れても洗わない。吉田さんは「以前、あまりにも泥んこやったんで、シャーッと水をかけたら、嫌がって逃げたのでやめた」とのこと。一般的に、パンダはプールに入るのが好きなように、自分から濡れるのは好きだが、濡らされるのは嫌がる。タンタンは雨も苦手だ。でも、なぜかいつの間にか綺麗になっているという。

神経質でおとなしい性格のタンタン

ケージのすき間からブラシを入れて、タンタンをブラッシングすることもある。毛が抜けて毛玉になり、体にくっついているのを落とすためだ。ブラッシングしてもらっている間、タンタンは「気持ち良さげにしている」(梅元さん)。

バックヤードの吉田さん(右)、梅元さんとタンタン(写真:筆者撮影)

エサの大半は竹だ。竹といってもさまざまな種類がある。タンタンが食べるのは、モウソウチク、ハチク、ヤダケ、メダケ、メマカリダケの5種類。ほかにトウチク、ホテイチクも用意しているが、タンタンは食べない。

また、タケノコはタンタンの大好物だ。タンタンは高齢で歯が少し摩耗していることもあり、王子動物園のスタッフは、なるべく食べさせてあげようとしている。国産のタケノコが出回るのは春先から夏で、今年は8月中旬が最後だった。国産を入手できなくなると、例年は中国からの輸入品を購入していた。今年はコロナ禍で中国産を入手しづらいが、幸いタンタンは竹を十分に食べているので、タケノコがなくても問題ない。

そんなタンタンの性格は、梅元さんによると「神経質でおとなしい」。神経質な面は、音に敏感、エサを非常に選り好みする、観客に背を向けて食べる、といったところに表れているそうだ。

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