日経平均が菅政権で大きく上がるための条件 解散総選挙もすぐにやってくる可能性が高い

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ずばり、菅新政権が長期政権になれば株高がやってくる。1964年(昭和39年)に発足した佐藤栄作内閣以降の在任期間と日経平均騰落率(内閣発足日と総辞職日)を比較すると、内閣在任期間が4年を超えた佐藤内閣、中曽根内閣、小泉内閣、安倍(2次)内閣、はいずれも上昇し、平均騰落率は+132.71%の上昇となっている。

一方、1年超から3年未満では、上昇8内閣、下落5内閣となり、平均騰落率は+7.5%上昇と小幅上昇にとどまる。さらに1年以下では、上昇3内閣、下落5内閣となり、平均騰落率は−8.8%の下落となり厳しい状況だ。このように、日経平均株価は4年超の長期政権となると大きく上昇することが多い。1年超3年未満だと、最も上昇した内閣でも20%前後にとどまり、さらに1年以下の短期政権では下落が目立ち、上昇した内閣でも5%前後にとどまることは頭の片隅に入れておきたい。

では「株高」「長期政権」のキーワードは何かと言われれば、「改革」だと答えよう。連続在任日数が歴代5位1806日(1982年11月27日~1987年11月6日)だった中曽根康弘首相は、専売公社(JT)民営化、電電公社(NTTグループ)民営化、衆参同日選挙で圧勝し、国鉄(JR)改革を成し遂げた。

また同4位1980日(2001年4月26日~2006年9月26日)の小泉純一郎首相は、道路公団(JH)民営化、総選挙で圧勝して、郵政(JP)民営化を実行した。

さらに、在任日数2798日だった佐藤栄作首相(1964年11月9日~1972年7月7日)を抜き、2020年8月24日に歴代1位となった安倍晋三首相も、アベノミクス(金融・財政・成長)で、日銀ETF、法人税減税に加え、ROE(自己資本利益率)向上のための企業統治改革(CG)・運用会社改革(SS)、GPIF改革など、上場企業と機関投資家改革を行った。菅政権には、アメリカ株などの動向に一喜一憂せず、「霞が関改革」により、長期政権になることを期待したい。そうなれば、日本株式はおのずと長期的な株高となりそうだ。

短期的にはアメリカ株の影響を受け下落リスクも

一方で、短期的には、8月31日に株式分割されたアップル、テスラをはじめとするハイテク銘柄を中心にアメリカの株式市場が変調をきたし、乱高下していることには注意が必要だ。同国市場はすでに調整局面入りした可能性もある(NYダウでみると、2000年以降の大統領選挙年の9月、10月で上昇したのは2回のみで上値は重い)。9月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でいったん好材料出尽くしとなる可能性もある。日本株式にとっても、アメリカを中心とした株式等の海外要因はマイナスになる可能性が高い。

さらにその後については、11月3日のアメリカ大統領選挙に向け、民主党ジョー・バイデン候補の法人税増税や、共和党ドナルド・トランプ大統領の対中強硬姿勢など、今までマーケットが無視してきた懸念要因にも反応しやすくなりそうだ。

9月末以降で注目したいのは、トランプ候補 vs. バイデン氏の「テレビ討論会」(9月29日、10月15日、10月22日)と、副大統領候補マイク・ペンス副大統領 vs. カマラ・ハリス氏の「テレビ討論会」(10月7日)だ。この「直接対決」は、現職の共和党トランプ大統領が再選されるのか、民主党バイデン候補が勝つのかの転換点になる可能性が高い。結果次第で、日本政府や日本企業の対応も大きく変わるはずだ。

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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