日経平均が菅政権で大きく上がるための条件 解散総選挙もすぐにやってくる可能性が高い

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足元の注目ポイントは、人事だ。電光石火で菅氏優勢への流れを作ったと言われる二階俊博幹事長の処遇だが、多くの政治ウォッチャー予想によると幹事長続投の可能性が高そうだ。また、最大派閥の細田派と麻生派・竹下派から誰がどのポストに就くかによって、一定程度新首相の考え方が見えてくるだろう。

注目の官房長官はサプライズ人事になると噂されている。さらに、前述の幹事長、官房長官に加え、財務・経済産業・外務・厚生労働の各大臣の手腕に期待がかかる。手堅いイメージのある菅首相の人選に注目が集まるので、しっかりウォッチしたいところだ。

菅新総裁の任期は安倍首相の残りを引き継ぐため、後1年(首相の自民党総裁任期満了は2021年9月30日)となる。またどんなに長くても13カ月後(衆議院議員の任期満了2021年10月21日)までには、改めて総裁選と衆議院選挙を実施することになる。

このため、菅氏の陣営は、(今回の自民党総裁選で)議員票と地方票の両方でトップ得票を狙った。支持の厚さを示したうえで政権を安定的に運営し、次の総裁選で他候補が出馬しにくい状況を目指すだろう。

次期総選挙はやはりもうすぐ?

次期総選挙のタイミングについては、一部の政治評論家等からは10月25日や11月1日等、早期の総選挙(衆議院選挙)投開票日の日程がささやかれている。筆者も内閣支持率が高くなるであろう、早期のタイミングでの年内総選挙の可能性は高いとみる。

なぜなら、菅氏の政策にヒントがあると思うからだ。新政権は、①経済政策(アベノミクスの継承)」と、②「コロナウイルス対策(最優先)」の両輪の政策を重視していきそうだ。海外投資家は、①の菅氏なら、短期的にニュートラル(政策変更無しで中立)とみて安心している。また②については、総選挙実施のタイミングともからむが、10月から東京発着も加わる「GoToトラベル」推進とのバランスをどのようにしていくのかにも注目だ。

菅氏の政策は市場にどんな影響を与えるだろうか。今のところ、ふるさと納税や、(コロナウイルス次第だが)GoToトラベルを推進してきた経緯などからみても、地方関連株や旅行や宿泊、陸海空運業、飲食業などには、ポジティブ。携帯電話値下げに言及してきたことから、通信業にはネガティブな状況が続きそうだ。

加えて菅氏には「大胆に規制改革を実行する」「行政のデジタル化を進める、デジタル庁の創設を提案する」などの発言のように、規制改革を推進して、縦割り行政の打破を目指すとの強い意志が見て取れる。これらは長期政権でないとできない(成しえない)ため、筆者が年内総選挙に打って出る可能性が高いと思う根拠はここにある。新内閣の支持率が高くなると、より可能性が高まるだろう。

もし、総選挙に与党が勝利し、長期政権への道筋を付けることができれば、マーケットは政治の安定という側面から、世界株式と対比して相対的に底堅く上昇する可能性が高そうだ。

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