グノシーが「エンタメ一辺倒」から脱却図る理由 広告不正で曲がり角、「第二の創業」舞台裏とは

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ユーザーの好みから外れるような記事も出すとなれば、アプリ内での記事クリック数や滞在時間が減少し、広告収益に打撃を与える可能性もある。だが、「中長期的な成長を考えれば、健全で必要不可欠なアプリと認識してもらうことが重要だ」(竹谷社長)。

「エンタメ一辺倒」という特徴を薄める一方で、それとは別軸でスマートニュースやヤフーニュースとの差別化策も講じる。グノシーアプリでは独自のライブ番組を配信するほか、音声コンテンツの拡充も図る。直近ではラジオ番組を聴取できる「radiko(ラジコ)」のタブを新設、配信のトライアルを始めた。また、毎日の記事閲覧でポイントを貯められ、一定量が貯まるとアマゾンギフト券と交換できる仕組みも導入した。

こうした取り組みもあってか、今のところ懸念したようなユーザー離反は起こっていないという。また、「エンタメ記事の間にある広告と、政治・経済・社会系の記事の間にある広告では、後者のほうがクリック率が高いとわかってきた」(竹谷社長)。今後はより時事性の高い記事を前面に出していくことで、芸能ゴシップなど引きが強いトピックスのある・なしに依存せず、毎日習慣的にアプリを訪れるユーザーを増やしたい考えだ。

グノシーの未来を左右する新規事業

もう1つ、グノシーの行く末を左右しそうなのが新規事業だ。ニュースアプリはアプリサービスの中でも“老舗”であり、成熟期を迎えつつある。同社では自社の強みであるデータ分析やアルゴリズムの知見を活用した、ニュースアプリとは別の収益柱構築を模索する。

グノシーは8月、2015年にM&Aを行ったゲーム攻略情報サイト「ゲームエイト」運営会社の西尾健太郎社長を取締役に起用。同氏が創業者として培ってきた新規事業育成のノウハウをグループ全体に生かす狙いがある。

直近では、メーカー、小売り、外食各社が実施する抽選プレゼントやクーポンの情報を集めたアプリ「オトクル」や、そこから派生した数量限定の日用品ECサービス「とくまろ商店」に注力する。また、博報堂と連携しテレビCMの効果を可視化するサービスも開始。今後もあらゆるパートナー企業とのDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の事業創出を目指す。

とはいえ、どの事業もまだスタートラインに立ったばかり。もともとはニュースアプリ事業が好調なうちに新規事業を軌道に乗せようと企図していたグノシーだが、目下はグノシーアプリが不調に陥り、その前提が崩れてしまった。既存事業の再構築と新規事業の立ち上げ、両方を急ピッチで進めなければならないグノシーの「第二の創業」は、決して容易なものではなさそうだ。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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