グノシーが「エンタメ一辺倒」から脱却図る理由

広告不正で曲がり角、「第二の創業」舞台裏とは

グノシーは6月から木村新司会長(左)と竹谷祐哉社長の2人代表制に移行した(撮影:尾形文繁、梅谷秀司)

「(読者ニーズを最優先する)アルゴリズムだけでなく、社会性も重視する会社へと変化していく」。スマートフォン向けニュースアプリを運営するグノシーの木村新司会長は、そう力を込める。創業から約8年。グノシーは今、大きな転換期を迎えている。

同社は6月から、取締役だった木村氏を代表取締役会長に起用、竹谷祐哉社長との2人代表体制に移行した。木村氏は自身での起業・グリーへの売却を経て、2013年に創業期から投資家として関わってきたグノシーの代表取締役に就任。その後は一度代表から退いたが、グノシー側が「先進的なビジネスに精通しグローバルな知見も豊富な木村を再度代表に加え、リーダーシップを強化すべきと考えた」(同社広報)ことから、今回復帰した。

竹谷社長もその意義を語る。「前期の収益性悪化、新型コロナの打撃などで、会社を大きく変えていかなければと思った。どのように変えていくかも含め議論し、木村に代表になってもらえるよう私からお願いした。グノシーにとって今は、第二の創業期だ」。

冷え込んだ広告主の出稿マインド

ニュースアプリ「グノシー」は提携媒体が配信するさまざまなニュースをキュレーション(収集・選別)し、ユーザーに提供している。「Yahoo!ニュース」「スマートニュース」などと競い合う立場だ。同社はグノシーアプリのほかに、KDDIと協業する「ニュースパス」、女性向けに特化した「ルクラ」などの情報アプリも運営し、総ダウンロード数は5786万(2020年5月)に達する。こうしたアプリ内に掲載する広告事業のほか、あらゆるネット媒体への広告配信を一元化できるアドネットワーク事業を収益源とする。

先の竹谷氏のコメントの通り、同社の直近業績は冴えない。2020年5月期の決算は売上高139億円(前期比6.9%減)、営業利益8.5億円(同62.7%減)と、減収減益だった。アプリの月間利用者数は前期比で10%強拡大したものの、コロナ禍で広告主の出稿マインドが冷え込んだことに大きな影響を受けた。

不調の要因はほかにもある。3月に同社子会社において架空の口コミや虚偽の写真で広告を制作・配信していたことが判明し、その対応に追われたことだ。

具体的には、化粧品の効果・効能をうたう記事広告において、実在しない人物を装った口コミを掲載したり、まったく関係のない画像素材を流用したりといったケースが発覚した。これを受け、同社は4月に広告ガイドラインの全面改訂を実施。広告審査部隊を当該事業関連部門からコーポレート本部内に移管し、社内体制も強化した。結果、従前はOKとしていた広告でも表現の見直しを依頼するなどのケースが増え、出稿量は大幅に減った。

次ページ2人代表制の新体制で何に取り組むのか?
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