(第2回)日本が歩むべきは高度な知識産業への道

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 業績が低迷しているのは、トヨタだけではない。日本のどの企業も大同小異の状況だ。しかも、自動車産業や電機産業には、政府の巨額の経済支援がつぎ込まれている。

「アジア向けの輸出の増大に支えられて、日本の製造業が立ち直っている」という類いの報道が最近目立つ。しかし、輸出が回復したといっても、ピーク時の8割程度に戻ったにすぎない。また、利益が回復したといっても、赤字だったのがやっと黒字になったという場合が多い。09年の前半に経済活動水準は極めて低いレベルに落ち込んでしまったために、それとの比較で言えば回復したように見えるだけのことなのだ。

問題は、輸出の水準であり、利益の水準である。あるいは利益率である。それらで見れば、日本の製造業は惨憺(さんたん)たるありさまに陥っているとしか言いようがない。

他が真似できない新しいビジネス

上に見たアメリカの先端企業は、IBMを除けば、すべて新しい企業だ。20年前には存在していなかった。

グーグルは、スタンフォード大学の大学院生が遊び半分でやっていたことをビジネス化したものだ。IPO(新規株式公開)を行ったのは、わずか6年前だ。このような企業がアメリカを代表する企業になるとは、10年前には誰も想像できなかった。

設立が新しいというだけでない。これらの企業は、新しいビジネスモデルによって利益を生み出している。アップルやIBMはモノを作っていることは事実だが、従来の製造業の範疇をはみ出している。

20年前のIBMはコンピュータの生産で独占的な地位を持つメーカーだったが、現在のIBMは、ソフトウエアを提供する企業としての性格のほうが強い。つまり、20年前のIBMと現在のIBMは、ほとんど別の企業になってしまったのだ。そして、それゆえに、IBMは成長を続けているのである。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事