「早生まれは不利」の研究に感じる違和感の正体 その"客観的事実"が人々に植えつける心理

✎ 1〜 ✎ 61 ✎ 62 ✎ 63 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

なぜかというと、好きな遊びをたっぷりやることで非認知能力が高まり、それが学力の伸びにつながったからです。また、アメリカの「ペリー修学前プロジェクト」の研究でも、主体的な遊びをたっぷりして非認知能力が高くなった人は、学歴も収入も高くなることがわかっています。

では、なぜ、自分がやりたいことや好きな遊びをしているときに非認知能力が育つのかというと、こういうとき子どもの内面で次のような体験や学びが進行しているからです。

「今度はこれをやりたい。どうしたらできるかな? そうか、こうすればいいんだ。できた! 楽しいなあ。もっとやってみたい。自分はできるはずだ。あれ、うまくいかないなあ。でも、自分はできるはずだからもう少しやってみよう。

どうしたらできるかな? こうやったらどうかな? あれ、やっぱりだめだ。もっとこうしたらどうかな? あ、いいぞ、うまくいきそうだ。できた、やったあ。うれしいなあ。そうだ、○○君と一緒にやればもっとうまくできるかも。よし、誘ってみよう」

つまり、楽しいからこそ上記のような体験や学びが主体的に進行するわけで、そんな中で、自分がやりたいことを見つける力、それに向けて努力を続ける力、粘り強くやり抜く力、自己コントロール力、他者と協力する力など、いわゆる非認知能力が育つのです。

肯定的な言葉をかけてあげると自己肯定感は高まる

ということで、早生まれの子の親としては、こういう研究の成果を積極的に取り入れるとよいと思います。要するに、子ども本人がやりたがること、好きな遊びなどをたっぷりやらせてあげることが大事なのです。

もう1つ、私の経験で言わせていただければ、子どもの自己肯定感を育てて、よいセルフイメージを持てるようにしてあげることも大事です。そのためには、「また○○してない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」などのように、否定的に叱るのは極力やめるべきです。なぜなら、いつもこういう言葉を浴びている子は「自分はダメな子だ」と思い込むようになってしまうからです。

そして、「頑張ってるね」「できるね」「いいね」「ありがとう。助かるよ」などの肯定的な言葉を増やしましょう。こういう言葉をたくさん受け取ることで子どもの自己肯定感が高まります。

そのためには、先ほどの話とつながるのですが、親がやらせたいことをやらせるのではなく、子ども自身がやりたがることをたっぷりやらせてあげることが大事です。そうすれば、子どもは楽しみながら自然に頑張れるので成果も上がります。それによって、親もたくさん褒めることができますし、子どもも自信がつきます。

親の価値観を優先して、子どもがやりたくないことを無理にやらせていると、子どもは苦痛に感じるだけでやる気が出ません。それで、親が叱ることが増え、子どものセルフイメージが悪くなります。

以上をまとめると、自己肯定感と非認知能力を大切にしていけば大丈夫ということです。そして最後にひと言。早生まれに幸あれ!

親野 智可等 教育評論家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事