被災鉄路「代わりの交通機関」どう案内するか

非常時こそほかの交通手段との連携が大切だ

肥薩おれんじ鉄道の佐敷駅前に到着した八代からの列車代行バス。休日で利用客は少なかった(筆者撮影)

九州を中心に大きな災害となった2020年7月の豪雨では、熊本県の八代と鹿児島県の川内を結ぶ第三セクター鉄道「肥薩おれんじ鉄道」も60カ所を超える線路、電力、信号設備などが被害を受けた。

もっとも大きな損害は、海浦―佐敷間の佐敷トンネル南側入口(熊本県葦北郡芦北町)を含む約250mの区間を埋めた土砂崩れである。このため、八代―佐敷間が不通となっており、バスにより代行輸送中。11月頃の復旧が目指されている。

7月の豪雨で大きな被害

同社の公式サイトなどでは、八代―佐敷間のバスを「代替バス」と称しているが、列車の普通乗車券、定期券、回数券を所持している乗客用で、列車と変わりなく利用できるので、一般的には「列車代行バス」と呼ばれるものだ。東日本大震災での被災後、三陸地区のJR山田線不通区間で見られた、既存の路線バスに鉄道の定期券、回数券で乗車できる措置を行った「代替輸送」とは異なる。

代行バスの運転本数は、平日は下り佐敷行きが6本、上り八代行きが9本、土休日は上り下りとも各3本設定されている。被災前の列車運行の体制は、平日の同区間に下り18本、上り19本(他に八代―肥後高田間の区間運転が上り下り各1本)。土休日にはさらに快速上り下り各2本が追加されていた。それに比べると、いかにも輸送力が少ない。

佐敷以南、水俣、出水方面への列車は、一部に車両運用上から運休があるものの、おおむね被災前の運転本数が確保されている。肥薩おれんじ鉄道としては、八代―佐敷間においても極力、輸送力を確保したいところ。代行バスがこの運転本数となったのは苦しい。誰でも乗車できるものの、「学生の優先利用をお願いいたします」と、公式サイトでは告知している。公共交通機関として、利用客を区別してはいけない。しかしいまは、いちばんの顧客であり、朝夕に集中する学生、生徒の輸送をまず考えざるをえないのだ。

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