被災鉄路「代わりの交通機関」どう案内するか 非常時こそほかの交通手段との連携が大切だ

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列車代行バスが運転されるケースは、何らかの原因で鉄道の運行ができない「非常事態」でもある。鉄道会社は利用客や社員の安全を確保しつつ、復旧へ向けての対応を進める一方で、慣れていないバスでの輸送を行わなければならない。ひとくちに列車代行と言っても、人員をやりくりしての大変な作業となる。

バスを運転するのはバス会社の運転士ではあるけれど、鉄道会社は列車の輸送実績データから必要となる輸送力を計算し、計画を立案。バス会社からバスをチャーターする。費用は当然、鉄道会社の負担だ。そして案内誘導に当たる自社の人員配置を決めるなど、代行バス運転開始から鉄道の復旧に至るまで、日常とは異なる業務体制を短時間のうちに整え、長期的に追われる。

そもそも、道路状況や、やはり同じく被災者である場合が多い地元のバス会社側の事情によってバスの台数が確保できないなど、思うような代行輸送ができないこともある。もしくは、8月8日に運転を再開したJR豊肥本線のように、道路を含む地域全体が被災しており代行バスが当初は運転ができず、運転できるようになってからも、輸送力不足から広くPRできないといった状態になることもある。

被災直後は情報不足になりやすい

天災はいつ、どの区間が被るかわからず、被害を受ければ、一瞬で列車が運転できなくなる。東日本大震災以来、筆者は多くの路線で列車代行バス、代行輸送を取材してきた。

2011年の豪雨で被災した只見線の列車代行バス。専用デザインのバスまでできた(筆者撮影)

中にはJR只見線やJR日田彦山線のように、数年間にわたって、鉄道の不通が続く区間もある。何年も代行輸送を続けていると、鉄道会社側も利用客側も「手慣れた」感じが出てくるが、被災直後はなかなか万全とはいかないものだ。

ギリギリの人員で日常業務を回している中小の鉄道において、列車代行輸送に「完璧」を求めるのは難しい。被災直後はなおさらで、とくに情報提供の面に関して不足を感じる。

よくあるのが「列車代行バスに乗るとき、きっぷはどうしたらいいのか?」という情報が見受けられないケース。改札口を通らないことからくる不安だが、実際には列車に乗るときと同じ。有人駅や自動券売機がある駅では、乗車券を買えばいい。定期券や回数券を持っているなら、そのまま乗って問題はない。肥薩おれんじ鉄道では、被災後約1カ月の段階で、公式サイトや、駅の張り紙でその旨、案内されていた。

問題は、無人駅から乗車券を買わずに乗った場合。列車ならば運転士や車掌、駅の係員に運賃を支払うか、下車駅も無人なら駅の集札箱へお金を入れればよいが、列車代行バスの運転士は鉄道会社の社員ではなく、運賃収受や乗車券の回収にはおおむねノータッチ。道路との関係で、バスの停車場所が駅から離れざるをえないところもある。運賃の取りこぼしが懸念されるが、その点は利用客の良心を信じているのだ。

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