広がるトヨタバッシング、収束不能のリコール問題に加え、プリウスも火種に

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相次ぐ品質問題で、米国でのトヨタへの逆風は強まる一方だ。リコールが表面化してすぐ、ゼネラル・モーターズ(GM)などライバル各社は、トヨタ車からの乗り換えキャンペーンを展開。1月の新車販売では上位6社中、トヨタだけが前年同月比2ケタ減で3位に転落した。「過去のリコールでは2割ほど販売が落ちたが、今回はもう少し影響が大きい」(佐々木副社長)。

米当局への対応も遅い。今月10日と25日には下院の2委員会がリコール問題で公聴会を開催、トヨタ幹部らの召喚を決めた。同公聴会は08年に経営危機に陥っていた米ビックスリーの幹部を吊るし上げた前例もあり、トヨタが厳しい詰問を受けるのは必至。トヨタは否定しているが、「当局は部品だけでなく、『電子系統システムに問題がある』との解釈を捨てていない」(業界関係者)。また、米運輸省はトヨタへの制裁金も検討中という。

ここへきて看板であるハイブリッド車の新型「プリウス」にも、ブレーキに関する苦情が日米で100件以上寄せられていることが明らかになった。すでに販売した客には「何らかの形で方策を検討している」(横山裕行常務)ものの、まだ具体策は示されていない。また、同車はほぼすべて国内工場で生産され、ブレーキの生産もトヨタ系の大手サプライヤー。トヨタ自身のソフト開発力やサプライヤーとの連携にも疑問が向けられている。

リコールが発覚する直前まで、市場では11年3月期の「V字回復」説さえささやかれていた。だが、イメージダウンによる販売減速は必至で、一寸先すら読めなくなった。豊田社長は口を閉ざしたままだが、リコール問題の「軽視」はさらなる“悪夢”を呼び起こしかねない。

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大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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