やる気が出ない一日を変える「心理学的な手法」 勉強して差をつけたい人に伝えたい
例えば日本では、株や債券などの投資をする人の割合が欧米に比べるととても低いですが、これはこれまで日本人に投資をする習慣が少なかったからといえます。
多くの人にとって投資は未経験。もちろん投資にリスクはつきものですが、そのリスクを過大評価してしまうのです。投資をしたら損をする可能性がありますが、何もしなければひとまず何も損はしません。だったら投資という「新しいこと」には手をつけず現状を維持しておこう、と考えるのです。
この「現状維持バイアス」という心理はかなり強固なもの。というのは、人には「損失を避けたい」という気持ちがものすごく強くあり、「利益」と「損失」の両方が目の前に差し出された場合でも、利益を得ようとするより損失を避けようとする行動に出るほうが多いのです。例えば、
(B)今すぐ◯◯へ行って手続きしないと、銀行口座から1000円引かれてしまう
必ずどちらかを選ばないといけないとき、どちらを選ぶか。どちらを選んでも損はしない。でも(B)を選ぶ人のほうが多い。それは「損を避けたい」という気持ちのほうが強く働くからです。このように、人には「損を避けたい」という心理が強く働き、ゆえに「現状維持バイアス」はより強固なものとなるのです。
3行読んだらもうあなたの勝ち
さて、ここで新しい問題集が三日坊主になってしまうことに話を戻すと、「現状維持バイアス」によってその問題集に手をつけなくなるというのは、「この問題集をやって、はたして本当に力がつくのだろうか?」という思いが湧いてくるためです。せっかくやっても力がつかなければ、そこでかけた時間や労力を損することになる。「やって損するようなことはやめておこう」となるわけです。
でもここで気をつけなければいけないのは、損をする可能性は新しいことをやったときだけにあるものではないということ。
(B)新しいことを始めなかったがゆえに生じるかもしれない損
の2つがあるのですが、「現状維持バイアス」があると、後者の「損」は見逃しがちです。問題集でいえば「問題集に取り組んだために生じる損」のことは考えても、「問題集に取り組まなかったがゆえに生じる損」までには考えが及びません。でも現実には、勉強に限っていえば後者によって生じる損のほうがはるかに大きいのです。
というわけで、問題集は三日坊主で終わらせないことはとても重要なのですが、私たちを三日坊主にさせてしまう心理がいかに強固なものかということもおわかりいただけたと思います。
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