JR、東急…鉄道「ベンチャー連携」の勝者は誰か

スピードのJR東日本、「種まき」から始める東急

その後も、東京メトロや西武ホールディングスなど鉄道各社がベンチャー企業との連携に続々と乗り出した。

JR西日本は2016年にJR西日本イノベーションズを設立した。元産業再生機構COOの冨山和彦氏が立ち上げたコンサルティング会社「経営共創基盤(IGPI)」の指南を受けながら、これはと思う企業に出資している。

今年7月には、ベンチャー2社と組んで「JR西日本×住まいサブスク」というサービスの実証実験開始を発表した。毎月諸費用込みの定額で岡山や広島といった地方エリアのホテルやシェアハウスに居住し、月に2回新幹線で大阪との間を移動できる。新型コロナウイルスを踏まえた新しい行動様式にマッチした試みといえる。

JR東日本のスピード感

多くの鉄道会社がベンチャーとの協業を進める中で、各社が「実現までの動きが素早い」と口をそろえるのがJR東日本だ。同社がベンチャー企業との協業に本格的に乗り出したのは、「JR東日本スタートアッププログラム」を開始した2017年。東急と阪急と比べるとやや遅いスタートだった。

しかしベンチャー企業への投資会社・JR東日本スタートアップを2018年2月に設立すると、ベンチャーとの協業が急加速した。その中には荷物預かりマッチングサービスのecbo(エクボ)、傘シェアリングサービスのアイカサなどJRの主要駅ですでに営業を行っているものも数多い。

高輪ゲートウェイ駅の無人AI決済店舗(撮影:尾形文繁)

今年3月から高輪ゲートウェイ駅で営業開始した無人AI決済店舗もその一つで、AIに強みを持つ金融コンサルのサインポストと2019年7月に合弁会社を設立して事業を本格化させた。「コロナ以降は多くの引き合いがあり、コンビニ以外の使い道にも期待している」と、JR東日本の深澤祐二社長は息巻く。

「JR東日本とは資本力が違いすぎる」というやっかみも他社からは聞かれるが、JR東日本はベンチャーとの協業以外でも、他社が開発したさまざまなロボットによる実証実験を高輪ゲートウェイ駅で行っている。また主要駅での営業展開が増えてきたブース型シェアオフィス「ステーションブース」は、ブイキューブが展開するブース型シェアオフィス「テレキューブ」のノウハウを取り入れている。スピード感の違いは資本力というよりは、貪欲に外部企業のノウハウを取り入れようとする企業姿勢の違いではないかとも思える。

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