ゴールドマン躍進支えるCEO「超非常識」な素顔

趣味はDJとヨガ、金融界に新しい風を吹き込む

ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン会長兼CEO(写真:September Dawn Bottoms/The New York Times)

2020年が始まった頃、デービッド・ソロモンは守勢に立たされていた。

ウォール街で最も話題になり、そして最も多くの批判を集める投資銀行、ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)に就任して、ちょうど1年が経過した頃だった。ソロモンは前任者たちが長らく避けてきた領域へと進出し、ビジネスの幅を広げようとしていた。

ところが、消費者に接近を図るソロモンの戦略は株主には響かなかった。ソロモンの下でゴールドマンはアップルと提携してクレジットカードを立ち上げたりした。が、1月の投資家向けイベント後に銀行アナリストのマイク・マヨはこれらの試みを「気晴らしとムーンショット(壮大な計画)を足して割ったようなもの」と呼び、こういった動きを好感してゴールドマンの株を買った投資家は1人も知らない、と語った。

コロナ禍で評価が一変

ソロモンが率いるゴールドマンの方向性に困惑する株主と同じく、従業員にとってもソロモンは謎のリーダーだった。前任のロイド・ブランクファインは、2008年のリーマン危機を乗り切った冷静な戦略家と見られていた。一方、余暇にDJとしてプレイするソロモンは、率直で現実的な反面、直感的で柔軟な人物という評価が入り乱れていた。

そして、ソロモンがCEOとしての立場を確立しようとしているさなかに、新型コロナウイルスのパンデミックが発生した。トップに着任して間もなく、自らのリーダーシップが試される最大の難局に直面したわけだが、これは自らの能力を示す最大のチャンスでもあった。

危機の中、ソロモンは優れた経営手腕を発揮し、ほかの大手銀行が対応にまごつくのをよそに、すばやく変化に適応した。一方では、「ソロモン流」のリスクも浮き彫りになっている。ソロモンは楽しみを重視するスタイルが若手社員と向き合う上で大きな強みになると考えていたが、不注意からある失敗を引き起こすことになった(詳細は後述)。

その他の課題も残っている。例えばゴールドマンは、マレーシアの政府高官が個人的な財布として悪用していた同国の政府系ファンド「1MDB」の巨額資金調達を手助けした容疑でアメリカの司法省および金融当局から捜査を受けている。消息筋によると、和解の枠組みでアメリカ当局と合意が成立したとはいえ、内容はまだ確定したものではないという。この件について、司法省はコメントを拒んだ。

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