SUVの元祖ジープが"丸くなった"ワケ 中型車「チェロキー」を6年ぶりに全面刷新

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悪路でも走りやすいように設計されている

ジープといえば、悪路走破性の高さが売り。よりオフロード走行に向く上位モデルには今回、「セレクスピード・コントロール」と呼ばれる機能が標準搭載されている。

これは指定のボタンを押せば、急な上り坂ではアクセルを踏まなくてもスロットルを制御してゆっくり登り、下り坂では自動的にブレーキで車を制御しながら時速4キロ程度の低速で下るというものだ。

実際に体験してみると、オフロード運転の経験がない筆者でも、何の不安もなく上り下りを運転することができた。

日本における2013年のSUV販売台数は約24万台。全登録車の販売台数が326万台であることを考えれば、まだまだ小さな市場だ。ただ、日本自動車販売協会連合会(自販連)が集計しているモデル別販売台数トップ30を見ると、最新の今年3月には6車種のSUVが名を連ねた。4年前の同じ月、10年3月を見てみると、ランクインしているのは日産自動車の「エクストレイル」と三菱自動車の「RVR」の2車種のみ。この4年で着実に裾野が広がってきたといえる。

BMW、アウディもSUVを強化

チェロキーは日本のSUV市場の7割近くを占めるミドルサイズであり、競合になるのは国内勢ではトヨタ自動車「ハリアー」やスバル「フォレスター」など、今まさに“売れ筋”の車だ。

また、海外勢も日本でのSUV販売を強化している。特に力を入れているのがドイツのメーカーだ。BMWは、日本自動車輸入組合による2013年度モデル別販売台数トップ20に小型モデル「X1」や中型の「X3」という2車種をランクインさせた。7年連続で過去最高の販売台数を更新中のアウディは「Q3」や「Q5」といったSUVモデルが貢献しているほか、メルセデス・ベンツも小型SUVの新モデル「GLAクラス」を今夏に投入予定だ。

フィアットクライスラージャパンのヘグストロム社長は、「成長を続けているセグメントであり、オフロードでも使える性能の高さをアピールしたい」と話す。同社は、ジープのディーラー網を昨年末時点の60店舗から、今年中には84店舗まで拡大させる。SUVをめぐる競争が激化する中、新型チェロキーで新たなジープファンの獲得を目指す。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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