KPIを導入しても経営が上向かない「あるある」

「効果がない or 逆効果」を防ぐ使用上の注意

また、永守重信会長が率いる日本電産は、KPIの達成に強いこだわりを持つことを組織文化として根付かせています。その結果、かつてのリーマンショックや今回の新型コロナ不況下でも一定の業績を残せる可能性を高めているのです。

先述のプロスポーツチームであれば、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスは、選手の成績を示す伝統的なKPI(「打率」や「打点」「ホームラン数」など)ではなく、それまであまり重視されなかった「長打率」や「出塁率」といったKPIに着目し活用することで、安い給与であっても強いチームを作り上げることに成功しました。

ここで紹介した組織だけでなく、現在ではほとんどの組織は多かれ少なかれ、KPIを設定してマネジメントに生かしています。そして適切に設定・運用すれば、KPI経営は組織に好循環をもたらすはずなのですが、「あまり効果が実感できない」「むしろ弊害が生じている」というケースも多いようです。

社長の経験の浅いベンチャー企業や、公的組織(官庁や学校など)にとくにその傾向が強いようですが、大企業であっても部署(子会社なども含む)によってはKPI経営が中途半端なことは少なくありません。その結果、どのような「好ましくない状況」が起こりうるのかをここでご紹介します。

KPIの設定が偏っていたり足りないケース

適切にKPIを設定する効用は多岐にわたりますが、その第1は問題発見とその解決がしやすくなることにあります。PDCA(Plan-Do-Check-Action)をスムーズに回しやすくなると言い換えることもできます。逆に言うと、KPIの設定が不十分であったり偏っていると、それが難しくなるのです。

例えばある組織が営業部の各チームに「売り上げ成績」をKPIとして設定したとしましょう。このこと自体には問題はありません。しかし「売り上げ成績」しかKPIを設定していないとなると問題が生じる可能性が高くなります。例えば、「『売り上げ成績』の達成に追われて、本来とるべき案件ではないのに強引に売る」ということが起こるかもしれません。そしてもしそんなことが実際に起こっても、「売り上げ成績」というKPIだけを見ていたのではその事実になかなか気がつきません。

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