青山と銀座、高級商業地で進む「テナント離れ」 相次ぐ退去、銀座の空室率は7%台の可能性も

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スーパーマーケットを筆頭に日常使いの小売店が好調な一方、骨董通りのようなアパレルや飲食店をはじめとする高級店舗は苦境が続く。

商業施設の苦戦は上場REITの経営成績にはっきり表れている。日本リテールファンド投資法人が保有する商業施設の6月のテナント売上高は、渋谷区神宮前の「ラ・ポルト青山」が前年同月比で約6割、表参道に立つ同じ渋谷区の「ジャイル」も約7割にとどまった。同投資法人が保有する地方都市に立つショッピングセンターが、食料品や日用品を扱うテナントを中心に軒並み例年並みまで回復しているのとは対照的だ。

営業再開のメドは立っていない

青山だけでなく、都内のもう1つの高級商業地である銀座でも退去が目立つ。「これまで満床が続いていたビルでも空室が出ている」。銀座で不動産仲介を12年間手がける、サンフロンティア不動産銀座店の小川達也店長は話す。

銀座の中心を通る中央通り沿いに立つ「アクトビル」。銀座三越と松屋銀座に挟まれた好立地で、これまで空室募集はほとんどなかった。ところが、8月中旬時点では9フロア中少なくとも2フロアが空室、1フロアで閉店の貼り紙が確認された。銀座レンガ通りや並木通りなど、中央通りから入ると、閉店の貼り紙やがらんどうの店舗はさらに増える。

8月中旬のアクトビル。目抜き通り沿いでも空室が目立つ(記者撮影)

これまでインバウンド客を積極的に取り込んできた反動もある。東急プラザ銀座に入居するロッテ免税店は、賃貸する2フロアのうち医薬品を扱うごく一部の区画しか営業を再開できていない。主力の化粧品などを扱うほとんどの区画はいまだパーテーションで規制され、売り場に入ることさえできない。担当者は「営業再開のメドは立っていない」と嘆息する。

開業直後にコロナに襲われた新築ビルも苦しい。2019年12月に竣工した銀座マロニエテラスでは、8階と9階に入居予定だったテナントの契約がキャンセルされたようだ。同区画では現在、坪約4万円の賃料で募集されている。

4月に開業した「阪急阪神銀座ビル」では、5月にオープン予定だった美容院が直前になって入居をキャンセルした。新築ビルをめぐっては、「テナントが入居し、賃料が発生してから売却する計画だったが、資金回収を急ごうと(テナントのついていない)空ビルのまま売りに出すオーナーもいる」(別の不動産業者)という。

サンフロンティア不動産によれば、銀座の空室率は現状2.2%。だが、現在解約通知が出ている部屋が埋まらなかった場合、空室率は7%にまで跳ね上がるという。

青山・銀座ともに、現在はひとまずコロナ前と同条件で募集をかけて様子を見ているビルオーナーが多い。他方で、入居の確度が高いテナントに対して値下げ交渉を受け入れたり、数カ月間だけ賃料を減額したりする動きも起きている。アメリカの不動産サービス会社「クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド」によれば、これまで上昇基調にあった銀座の想定成約賃料は、2020年4~6月期には前年同期比で5%の下落に転じた。

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