香港のメディア王「自由のため1日1日を戦う」 「国家安全法」で逮捕されたジミー・ライ激白

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違法集会組織、参加の容疑では最長でも禁固5年。しかし、香港国家安全維持法ではそうはいかない。同法により国家安全維持署が香港に設けられ、中央から治安要員が派遣された。彼らは独自に権限を行使することができ、香港法の制約を受けない。条文を読む限りでは中国本土への移送、審理も可能で、中国本土に移送されれば中国本土の法によって裁かれ、極刑となる可能性も排除はできない。

逮捕に出向いたのが中国本土から派遣された治安要員ではなく、香港の警察官だったことでライは当座の身の安全を確認できたのだ。

「警察からは3つの容疑を告げられた。詐欺、外国勢力との結託ともう1つ。詐欺は子供らの名義の会社登記先を壹伝媒と同じ住所にしていることを問われたもので言いがかりのようなもの。最後の1つもそうだ。『外国勢力との結託』こそが今回の逮捕の狙いだ」

この日にはライのほかにも彼の長男、次男と『アップル・デイリー』幹部ら、アグネス・チョウら民主活動家など10人が同容疑で逮捕された。またライのアメリカ人秘書は既に香港を離れているものの指名手配された。これにより、香港非居住者の香港域外での活動も取り締まり対象となるという過酷な現実も明らかになった。

後ろ手錠のまま引き回し

「逮捕もその後に起きたこともすべては警察によるデモンストレーションだ。私は後ろ手に手錠をかけられたまま連行され、関係先への捜索でも引き回された。そして、その一挙手一投足まで報道された。

『アップル・デイリー』本社への捜索にも同行させられ、200人以上の警察官が本社を捜索。財務関係書類ばかりか取材関連資料も押収した。新聞社がこれだけの捜索を受けた前例は香港の歴史にはなく、中英共同宣言、香港基本法、国家安全維持法のいずれも認めている報道の自由に対する重大な挑戦である。警察、司法当局には早急に押収書類を返還するよう求めているし、今後も求めていく」

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