世界的猛暑、「異常気象」が鉄道に及ぼす脅威 開業時は想定できなかった気候変動で土砂崩れ

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スコットランドで起きた列車脱線事故の現場(写真:AFP=時事)

8月12日、英国スコットランドで特急列車が脱線転覆し、乗務員を含む3人が死亡する事故が起きた。原因は大雨による土砂崩れで線路を土が覆い、列車が乗り上げたためだった。

ここ数年、英国では温暖化による異常気象で鉄道インフラが被害を受け、列車の運休や遅延がたびたび起きている。7月には、鉄道・道路庁(ORR)が気候変動による鉄道インフラへのリスクを指摘する報告書を公表していた。

今回のスコットランドの事故は、豪雨により鉄道が大きな被害を受けている日本各地の惨状とも重なるところがある。事故があぶりだした、気候変動が鉄道に与える影響を追ってみることにしたい。

「気候変動が豪雨の原因」

今回事故を起こした列車(ディーゼル機関車2両、客車4両で編成される「インターシティ125」)は当日、朝6時38分にスコットランド東海岸のアバディーンを出発、海岸線に沿って南下し、商業都市グラスゴーへと向かっていた。だが、途中区間で土砂崩れが起きたことが判明。アバディーン駅まで引き返そうとする途中で事故が起きた。

英国の新型コロナウイルス感染がやまぬ中、事故列車は客車4両に乗客がわずか12人しか乗っていなかったのが不幸中の幸いだった。

事故の前日からスコットランドは大雨に見舞われていた。浸水があちこちで起き、脱線事故の直前には多くの駅が水に浸かっていた。英国気象庁は現場付近の降水量について、朝5時からの2時間で63ミリの雨を記録したと述べている。

こうした状況について、スコットランド政府のマイケル・マジソン運輸相は前日から降り続いていた極めて激しい雨の原因を「気候変動が大きなファクター」と指摘。「われわれはこうした局地的豪雨のような異常気象が頻繁に起きるという困難に直面している。鉄道ネットワークのみならず、交通網全体への影響も大きい」と窮状を述べている。

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