感染者4人で再封鎖「ニュージーランド」の凄み ハードな短期戦で再びコロナ撲滅を目指す
ニュージーランドは隣国のオーストラリアから何をしてはいけないかを学び取ったようだ。オーストラリアのメルボルンでは先日、検査で陽性となり自主隔離となった800人の感染者が、隔離期間中に自宅待機していなかったことが抜き打ちチェックで発覚している。
ニュージーランドが隔離施設を重視するようになったのも、オーストラリアを反面教師とした結果だ。メルボルンでは、旅行者がホテル従業員をウイルスに感染させ、感染した従業員によってウイルスが家庭に持ち込まれていた。
ブルームフィールド氏は13日、帰国者に対応した32カ所の隔離施設すべてでただちに従業員のウイルス検査を行い、それ以降も週に1度の検査を実施すると述べた。検査範囲は従業員の身内のほか、国内の空港や港湾で働くすべての国境監視員にも拡大される可能性がある。対象職員は6000~7000人に上る。「こうすれば、これ以上、不用意な感染が広がるのを防ぎやすくなる」(ブルームフィールド氏)。
これと目的を同じくするロックダウンも、厳格に実施されている。10カ所設置された検問所では、ロックダウン開始から36時間で1万7000台もの車が警察に止められた。大部分は仕事や食品の買い出し、介護など、正当な理由による移動であり、オークランドから逃げだそうとするといった違反行為で検問にひっかかり、引き返すことになったのは312台だけだった。
信頼される強硬策
高級ショッピング地区で普段は人出の多いポンソンビー通りでは、街が急速に半冬眠状態へと戻っていくように見えた。
ロスコー・トービーさん(58)は、行きつけのカフェの外の歩道に自分でデッキチェアを置き、そこに座って持ち帰り用のコーヒーを飲んでいた。1度目のロックダウンのときにも同じことをしていたという。
疫学者のベイカー氏は、ニュージーランドの前回の対応が成功したこと、そして台湾やフィジーなどで実質的に感染が消滅した状態が維持されていることを考えれば、楽観できる余地はあると話す。同氏によれば、今回の集団感染は小さく、短期間で制圧できる可能性があるという。
「政府は極めて迅速に対応し、断固とした決意でロックダウンを実施した。まだ見つかっていない感染の連鎖があったとしても、次第に消滅していくはずだ」(ベイカー氏)
コーヒー片手にデッキチェアに腰掛けていたトービーさんは、自分も含めた多くの人たちが、前回成果を上げた対策が再び、ただし今回はもっと短期間で成果を上げることを願っていると話した。トービーさんは新たな感染者が見つかったというニュースを知って「暗い気分になった」というものの、政府の大規模な対策を支持している。
「私たちは状況をわきまえているし、政府も信頼されていると思う」と、トービーさんは言った。「政府を信頼しない理由はないね」。
(執筆:Damien Cave記者、Serena Solomon記者)
(C)The 2020 The New York Times
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